津留建設 津留克也社長
日本初、竹産業ビジネススタート



 何故「竹」工業が創出されなかったか=Bこのほどバンブーフロンティア事業を発表した津留建設の津留克也社長はそれを克服した。工業化には課題の多い竹を使った建設資材の製品化に成功し、日本初の竹産業ビジネスをスタートさせる。同志であるマルコ建設の山田浩之社長とともにその逞しい創造力は、膨らむばかりだ。




〈津留社長が竹の有効利用を考え始めたのは熊本城周辺で毎年行われる竹灯籠を使った祭典「みずあかり」に携わってから。里山の整備というボランティアを行う中で、竹から付加価値の高い製品を生み出すことを思い立った〉
 3年程前から、南関町の竹を切って成分調査を行いました。このうち表皮は消毒液に使えることが分かって、病院、ホテル、飲食店などで全国に広がっています。ただ、1本の竹から採れる表皮は2%。残る98%をどうするのか。それじゃあボードを作ろうかと。中国にはありましたし、木材と比較してもコスト、品質に問題はありません。むしろ強度は7倍にもなり、木より薄くできます。それでも残る枝、葉などは、バーク(杉皮)と混ぜてエネルギーにします。
〈竹を100%使うためには役割分担が必要となる。このため3つの会社を立ち上げた。原材料を加工するフロンティア、製品を作るマテリアル、バイオ発電・売電するエナジー。フロンティアでは原料調達も行う。既に前線基地として南関、鹿本、御船、八女、日田に大規模な購入先を決めており、広域連携により里山の保全、農家への経済支援を促す〉
 販路は、大手住宅メーカーとも取引のある建材屋さんに8割を、残り2割を地元でと考えています。当初、どれだけ竹を集めることができるかがカギだったので、安定的に調達できる連携先を確保しました。中規模な購入先も数カ所に及んでおり、今後も2月中旬に行う事業説明会などで賛同者を募っていきたいと考えています。フル稼働では年間6万dを確保します。
〈工場は2月に着工し、9月に竣工する。出荷は来年1月を予定しており、初年度50人体制での稼働。2年後、130人体制での地元雇用を生み出す。対象は、若者、シルバー人材、女性と幅広く、地元の経済活性化が期待される。製品開発も旺盛で、責任者である山田社長の構想は果てしない〉
 我々が取り組むのは「竹産業創出事業」。既に製品・システム特許を申請中です。ボードばかりでなく、竹の抗菌性を利用した土壌改良(防疫)、法面材にも活用します。そのほかセメント瓦に混ぜて軽量・コストダウン化、MDF(中質繊維板)の代用、リサイクルを前提としたコンパネ材などと多様です。将来的には、中国のほか、ベトナムなどの東南アジアへと展開します。

【メモ】
これまで工業化されなかった竹にスポットをあて、総合利活用を実現したことがポイント。具体的には、竹をチップ化・繊維化し圧縮したものをパーティクルボードや高密度圧縮ブロック材にして建築用建材として販売する。残った幹材・枝葉はバイオマスエネルギーに使う。1本の竹を100%活用できるという。
2017.02.02掲載

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