日本建築学会 作品選奨受賞を受賞 芦北町交流センター
世界に誇ることが出来る施設PR



 芦北町の町民総合センター(しろやまスカイドーム)南側に隣接する地域資源活用総合交流促進施設(通称・交流センター)がこのほど日本建築学会作品選奨を受賞した。くまもとアートポリスの参加プロジェクトで、熊本県産材の杉集成材を竹かご状に編んだドーム型の屋根は日本初の構造。竣工までの影には事業を支えた町職員たちがいる。


〈交流センターの建設計画に着手したのは平成19年。当時、町民の交流施設として再利用していた佐敷中学校の旧体育館が老朽化しており、建設に踏み切った。農林水産省からの交付金を活用することになり設計へ。しかし、町では当初、アートポリスへの参加を尻込みした。プロジェクトに参加すると事業費がかさむという先入観があったためだ。ただ、地場産材、特に木材を使った類似施設はどこにもなく芦北の木≠ノこだわるためには設計時での緻密な工夫が求められた〉
 アートポリスにすると金は高くつくし、偉い先生に言いたいことも言えないというイメージがありました。しかし、県のアートポリス班からの説明では「昔とは違います」という答えでした。「設計料も地元でやる金額でできますよ」と。それが無かったなら、当然、参加しなかったと思います。
〈設計者は、全国でも著名な建築家、ワークステーションの高橋寛・晶子夫妻と佐藤淳構造設計事務所(東京大学)に決まった。建設にあたっては町内産の木材を使うことが大前提。スカイドームとの景観の兼ね合い、狭い敷地…。難しい問題が次々と待ち受けていた〉
 高橋先生らが考えておられたのは、建物を球面体にすることでした。敷地を有効利用でき、強度を保ちつつスカイドームともマッチします。ネックは屋根・天井部で芦北の木材では強度が保てなかったこと。そこで県北の木材を使うことで解決しました。外観は遠くから見ると、ちょうど親ガメ、子ガメのイメージで、町民からもスムーズに受け入れられています。町の観光資源であるうたせ船≠フ帆をイメージ出来たことが良かったのでしょう。
〈現在、施設の利用は目白押し。スカイドームのサブ施設として町内、県内だけでなく、全国から多くのスポーツ愛好家が集まる。こけら落としではジュニア空手の国際大会も開き大盛況だったという。宿泊施設(大人定員34人)もあり、今後はスポーツばかりでなく様々なイベントに目を向ける〉
 建設プロジェクトには、農林水産課をはじめ建設課、商工観光課、教育委員会など、町が一体となって参加しました。地元の資源を最大限に生かしたのは良いが、造ってからどうするか。インター開通、新幹線開業など5年先、10年先を見据えていました。最大の狙いは町外との交流人口を増やすことでしたが、その目標は達成しています。まだまだPR不足なのは否めませんが、今後も増え続けるでしょう。日本だけでなく、世界に誇ることが出来る施設ですから。

【メモ】
 日本建築学会作品選奨
  建築に関する総合的な観点から高い水準を有する建築作品を広く会員より募集し、採択された作品の概要を毎年1回刊行される「建築雑誌増刊 作品選集」に掲載。このうち優秀作品を「作品選奨」(1995年制定)として表彰している。.
2011.5.2掲載

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