熊本県土木部長に就任
奥山和弘氏

「安全・安心で活力ある熊本づくり」に注力
建設産業界ともに「地域を守り、未来をつくる」



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 熊本県土木部長に4月就任した奥山和弘氏は、西日本建設新聞社のインタビューに応じ、次の世代に誇れる「安全・安心で活力ある熊本づくり」に全力で取り組む姿勢を示した。災害からの復旧復興、半導体関連企業の集積に伴うインフラ整備、港湾機能の強化など、熊本の将来を左右する重要な施策が目白押しだ。建設産業界とともに「地域を守り、未来をつくる」ため、様々な課題に立ち向かう。



【就任にあたっての抱負を】
 熊本地震から10年。今年3月には県道熊本高森線の4車線化が完了した。残る益城町木山地区の土地区画整理事業についても鋭意推進するとともに、令和2年7月豪雨、令和7年8月豪雨からの復旧・復興にも全力で取り組んでいく。また、世界的半導体企業の進出などを契機とし産業集積が進んでおり、新たな需要に対応する道路や下水道等のインフラ整備も進めている。
次の世代に誇れる「安全・安心で活力ある熊本づくり」に全力で取り組みたい。

【豪雨災害からの復旧・復興の進捗状況】
令和2年7月豪雨の復旧工事は大きく進捗し、2028年度の完了に向け青井地区土地区画整理事業を進めている。「緑の流域治水」については、今年3月時点で宅地かさ上げ、築堤整備、河道掘削及び遊水機能を有する土地の確保・保全などを14河川で実施。万江川は、流域全体で土砂・洪水氾濫対策を推進している。流水型ダムは、27年度の本体工事着工に向け、国で鋭意進めていただいており感謝している。県も最大限協力していく。
 令和7年8月豪雨では、道路や河川などの公共土木施設2081カ所が被災し、災害査定決定額は約420億円にのぼった。被災した県施設655カ所のうち、3月までに107カ所の復旧工事を契約している。上天草市の国道266号や美里町の県道囲砥用線、金木川については、再度災害防止の観点から、災害関連事業に取り組んでいる。

【セミコン周辺のインフラ整備】
大津植木線多車線化と合志インターチェンジアクセス道路については、25年9月にJASM工場前やアクセス道路バイパス部などの工事に着手。用地取得は3月末時点で約6割(地権者ベース)を契約しており、28年度完成へスピード感を持って取り組む。国道387号(須屋付近)については、九州縦貫自動車道との交差部構造に関するNEXCO西日本との協議や、交通管理者との調整が整い、25年12月に地元説明会を開催した。現在は用地測量を進めている段階だ。
この地域の中心的な路線となる中九州横断道路は、国において異例のスピードで整備が進められている。大津西〜下硯川区間の有料道路事業導入が決定し、26年度当初予算には大津熊本道路(合志〜熊本)に132億円もの予算を重点配分いただき、整備が大きく進展することが期待される。県も用地の先行取得などに取り組む。
熊本セミコン特定公共下水道は25年3月に事業着手した。26年度は設計や処理場の用地取得、管路の工事を進めていく。

【熊本都市圏の渋滞対策】
 熊本都市圏連絡道路「10分・20分構想」は、「住民参加型の道路計画検討」を進めており、3月に「第3回熊本都市圏3連絡道路有識者会議」を開催し、本道路が果たすべき役割、いわゆる政策目標の妥当性を確認した。今後、政策目標や技術的検討を踏まえ、合理的かつ実現可能な複数ルート帯を26年度中に提示して意見聴取し、ルート帯や主な道路構造など概略計画の決定に向けた調査・検討を進める。

【港湾機能の強化】
 熊本港については、25年に新たなガントリークレーンを供用した。現在は防災機能の向上に向け、国の耐震強化岸壁整備と連携し、岸壁背後の埠頭用地整備を進めている。更に、企業の進出需要に対応するため、第2次分譲地約11fの分譲を進め、6fの分譲が完了。現在は分譲地周辺の道路や上・下水道などの基盤整備に取り組んでいる。
 八代港では、コンテナヤードの拡張工事を進めている。加賀島地区は、公共埠頭および工業用地整備を計画しており、今後、造成工事と工業用地売却に向けた手続きを進める。また、荷役の効率化のため、水深12b岸壁を含む新たな公共埠頭の新規事業化に向け、国と連携し取り組んでいく。

【県有施設の整備・維持保全】
 26年度は消防学校本館・寄宿舎や清水が丘学園管理学習棟・体育館等の木造化、荒尾支援学校・松橋西支援学校長寿命化改修等の内装木質化を行っている。ほか、既存施設の省エネルギー化を促進するため、LED照明改修工事や空調改修も順次実施している。
 県営住宅では、「こどもまんなか熊本」の実現に向け、特にこども・若者、子育て世帯が安全安心で快適に生活できるかという視点に立ち、昨年度に4戸を子育て支援型住戸へ改修した。今後も積極的に実施していく。

【九州初のナショナルサイクルルート指定に向けて】
 3月のナショナルサイクルルート審査委員会において、「あまいち」サイクリングルートが候補ルートに選定された。宇城市の三角駅と天草市の牛深港を結ぶ約150`のルートで、世界文化遺産のア津集落など本県を代表する観光地を周遊できるだけでなく、誰もが快適に走行できる魅力的なルートとなっている。委員会を経て指定されることで、ブランド価値の向上や国内外に向けた情報発信の強化により、交流人口の拡大や地域活性化が図られると期待している。

【建設産業の振興】
第4次熊本県建設産業振興プランに基づき、人材の確保・育成、生産性向上と働き方改革、持続可能な建設産業の育成について、県内建設産業団体や関係機関と緊密に連携しながら、目標の実現へ取り組みを推進している。
 人材の確保・育成では、小中学生・保護者向け現場見学会、高校生等を対象とした建設企業の魅力発見フェア、現場実習、工業高校オープンキャンパスなどを支援している。
働き方改革については「週休二日の推進」や「猛暑日を考慮した工期設定」「快適トイレや猛暑対策等の現場環境改善に係る費用計上」など、働きやすい条件、環境を整えるべく対策を進めている。また、生産性向上を図るべくICT活用工事や遠隔臨場の推進とともに、総合評価方式による入札時に提出が必要な技術申請書の電子申請化を25年12月から全面試行するなどDXも進めている。
 25年12月の改正建設業法の全面施行を受け、労務費の適正な確保と行き渡りや、資材高騰に伴う労務費のしわ寄せ防止など、持続可能な建設産業の育成に向けた取り組みを推進する。

【県内建設産業界へのメッセージ】
令和2年7月豪雨災害後、球磨地域振興局で災害復旧にあたった際に、業界の皆さんと一緒に使命感を持って取り組んだことをよく覚えている。建設産業は、社会基盤整備をはじめ、災害への対応など「地域の守り手」として県民の命と暮らしを守る不可欠な存在だ。令和7年8月豪雨においても、発災直後から迅速な調査・応急復旧等の対応に心より感謝申し上げる。
 災害からの早期の復旧・復興はもとより、広域幹線道路ネットワークの整備や防災・減災、国土強靭化対策など、本県の更なる発展のために取り組んでいく必要がある。
 今後も、県内建設産業界とともに、「人材の確保・育成」や「生産性向上と働き方改革」などの課題に立ち向かい、「地域を守り、未来をつくる」ため、引き続き御理解と御協力をお願いする。
2026.6.12掲載

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