熊本県土木部長に就任
菰田武志氏
「県民の命と暮らしを守る」最優先に
建設業界が持続・発展できる環境づくり
熊本県土木部長に4月就任した菰田武志氏は、西日本建設新聞社のインタビューに応じ、「県民の命と暮らしを守る」を最優先に、災害に強い県土づくり、防災・減災、国土強靱化の加速化などに積極的に取り組む決意を示した。半導体関連企業進出に伴うインフラ整備も計画的・集中的に実施する。これらを担う中心となるのは建設産業界。50年後、100年後の熊本の発展、地域を守り未来をつくるため、県土を支える業界が持続・発展できる環境づくりに注力する。
――就任にあたっての抱負を
本県では熊本広域大水害、熊本地震、令和2年7月豪雨と度重なる大きな自然災害が発生しており、やはり「県民の命と暮らしを守る」が一番だと思っている。災害に強い県土づくりを目指し、防災・減災、国土強靱化を加速化させる。広域道路ネットワークの整備や都市圏の渋滞対策など課題は山積し、半導体関連企業の集積に伴う関連インフラ整備も計画的・集中的に整備していかなければならない。これら社会資本整備を担う建設業界の担い手の確保・育成にもしっかりと取り組みたい。
昨年12月には、県の指針となる「くまもと新時代共創基本方針」を策定した。「こどもたちが笑顔で育つ熊本」「世界に開かれた活力あふれる熊本」「いつまでも続く豊かな熊本」「県民の命、健康、安全・安心を守る」という四つの基本方針を前提に事業を展開する。
――セミコンテクノパーク周辺の道路整備は
大津植木線多車線化と合志インターチェンジアクセス道路については、2028年度の完成を目指し、昨年9月に都市計画の事業認可を受け、10月から用地取得に入っているところ。今年3月には、大津植木線と菊陽空港線との交差部の土工工事を発注しており、引き続き全線の用地取得を進め、スピード感持って取り組む。JR豊肥本線を跨ぐ新山原水線の整備は、大津植木線との交差部までを26年度目標に供用したい。
国道387号須屋地区の4車化については、九州自動車道下の道幅を広げる必要があることから、NEXCOと設計協議を続けており、合志市とも連携しながら進めていく。また、都市圏の渋滞対策として、地元自治体や交通管理者と連携し、短期的に県が交差点19カ所を改良する。更には、3連絡道路の実現に向けた調査なども着実に推進していく。
セミコンテクノパーク周辺の道路整備は地元から非常に期待されている。排水処理や景観形成などの面から、用地が取得できれば即着工とはなかなかいかないが、切土と盛土の流用など国土交通省に整備していただいている中九州横断道路との整合性も図りながら、効率的・効果的に進めていく。
――熊本セミコン特定公共下水道について
全体事業費は280億円で、JASM第2工場とソニー第3工場の排水を受け入れる処理場を建設し、処理水を白川に放流する計画としている。都市計画事業認可の説明会を5月19日から21日まで菊陽町、合志市、熊本市で開催した。今年度は処理場の設計や管路の測量設計、処理場用地の取得など、早期稼働に向けた準備をしていきたい。処理場までの管路は、大津植木線の多車線化区間と重複するため、道路工事と整合性を持たせて効率的に進める。
――球磨川流域「緑の流域治水」の進捗は
河川の流下能力の向上を図る河川改修や河道掘削工事などの整備を推進している。御溝川二次放水路の整備は今年3月に完成し、市房ダムに流入した堆積土砂についても、これまでに約90万立方bの撤去が完了するなど順調に進んでいる。
川辺川の県管理区間については、河道掘削や築堤、遊水機能を有する土地などを集中的に実施しており、国が取り組まれる流水型ダムの整備と相まって進め、地域の安全・安心に繋げていきたい。水没予定地の五木村やダム建設予定地の相良村の振興については、県土木部が担う役割は大きく、スピード感を持って取り組みたい。
万江川では、都道府県で全国初の取組みとして、流域全体で土砂・洪水氾濫対策を実施していく事業を22年度からスタートさせている。昨年5月に一部砂防堰堤の除石工事を完了、12月には流木捕捉工にも着手したところ。同月、屋形地区砂防堰堤の工事概要と用地取得に関する地元説明会も開催しており、今年度は用地取得の推進と工事着手を目指したい。そのほか、治山、砂防と河川対策を連携して順次対策を進めていく。
――盛土規制法の運用が始まりました
規制法の運用が4月1日から開始され、県では県庁本館1階に建築課の分室(課内室)の盛土対策室を設置し、職員13人体制で事務を開始した。政令市の熊本市と同様、九州各県では一番早く設置した。熊本市を除く県内全域について一元的に盛土行為の許可と届け出の事務を行う。
一定規模以上の盛土には事前の届け出と許可が必要となったため、相談事項などに対応している。4月中旬までの約3週間で、造成行為や残土処分、ストックヤードなど1日平均50〜60件の相談に応じ、約700件の届け出を受理した。建設工事に伴う仮置きや残置処分を含め、建設発生土の適正処理を推進していく。
危険な盛土を監視・指導していくことが、盛土による災害を防止し、県民生活の安全安心の確保に繋がるものであり、一生懸命に頑張っていきたい。
――昨年10月に新熊本県建設産業振興プランが策定されました
建設産業に従事する皆さんが一生懸命に取り組んでいただくための環境づくりとそれを支援する施策だ。限られた人員の中での労働時間短縮や、多様な人材から選ばれるようDX推進による生産性向上、業務体制見直しなどの働き方改革をサポートしていく。
最近では普通高校の卒業生を採用し、入社後に免許や資格の取得を促している企業もあると聞いている。こうした取組みを広く知っていただくための広報活動や現場実習、オープンキャンパスも支援したい。土木部としてもインスタ等で建設産業の姿を発信している。
――働き方改革の推進に向けた市町村の理解は
国と県だけでなく、市町村の取組みも不可欠だ。低入札基準や最低制限設定などにバラツキがあると感じており、特に町村間に差があるという話も聞いている。
昨年度は、各市町村に対し監理課建設業班が中心となって直接訪問したり、リモート面談したりして、意見交換や助言をさせていただいた。県全体での働き方改革に繋げたい。
――県内建設産業界へのメッセージをお願いします
まずは、災害発生時に発災直後から地域や社会の安全安心の確保を担うため、地域の守り手としてご尽力いただいていることに改めて厚く感謝と御礼を申し上げたい。
その上で、県民の命と暮らしを守る不可欠な存在であり、建設産業は県民の生活や地域経済、雇用を支える本県の重要な産業である。
50年後、100年後の熊本の発展、地域を守り未来をつくるため、県土を支える業界の皆様が持続・発展できるよう、一緒に人材の確保育成や生産性向上、働き方改革などの課題解決に取り組む。引き続きご支援とご協力をお願いしたい。
(こもだ・たけし)
1965年10月22日生まれ、89年佐賀大学理工学部卒業
職歴=89年熊本県技術吏員、2018年農林水産部水産局漁港漁場整備課長、20年4月県北広域本部土木部長、同8月土木部河川港湾局河川課長、22年企画振興部土木技術審議監、24年土木部道路都市局長、25年土木部長。 |