生ごみをバイオの力で分解消滅する「マジックバイオくん」
(株)酒井電気(熊本市) 酒井 茂樹氏


 平成18年4月1日から「食品リサイクル法」の施行に伴い、食品循環資源の再生利用等が20%以上に引き上げられる。これにより、消費者や事業者は、食品廃棄物の発生の抑制と減量化を一層強いられることとなる。
 近年、ゴミ減量化とコスト削減を目的に、ゴミ収集を有料化する行政が増加傾向にある。県内でも58市町村が有料化を実施。熊本市でも導入を検討しており、「市ごみ減量・リサイクル推進基本計画」案に、18年度から家庭ゴミ収集を有料化する方針を盛り込んでいる。
 ゴミ処理のなかでも食品廃棄物(生ゴミ)の処理には手間がかかる。処理方式は乾燥方式、焼却方式、バクテリア方式の3タイプが主流だが、@乾燥方式では分解が出来ないため減量率が低いA焼却方式ではダイオキシン類やCO2が発生し環境に悪影響を及ぼす−等の問題を抱えている。
 そこで、(株)酒井電気(熊本市保田窪四丁目8−62)は、昨年11月から、バクテリア方式を採用した生ゴミ処理装置「マジックバイオくん」の販売に踏み切った。同装置は、(株)テックコーポレーション(広島市)が開発した有機性廃棄物高速発酵分解消滅型装置で、バイオ菌の力で生ゴミを限りなくゼロに分解・消滅させるシステム。
 処理できるものは、炭水化物、繊維質・セルロース、タンパク質、カルシウムなど。バイオ菌体(バイオテック・ユーノサ)の力で迅速かつ効率良く水と炭酸ガスに分解するため、生ゴミ処理時に発生するメタンやアンモニアなど悪臭の生成を最小限に抑えることができる。また、処理サイクルが早いため、毎日の処理が可能で衛生的。スーパーマーケットやホテル、レストラン、病院、学校給食センター(公共施設)など食品廃棄物が大量に発生する施設で能力を発揮する。
 同社の専門は電気工事業。酒井社長は「食品リサイクル法の重要性に興味を持った。環境問題がささやけるなか、世間のゴミ問題に対する認識の甘さを痛感した」と嘆く。「食品リサイクル法が施行されれば、環境にやさしい生ゴミ処理装置マジックバイオくんがいずれ注目される」と異業種進出への意気込みを語る。
 地区販売店を募集するとともに、現在、県内を中心に営業活動を展開中。デモンストレーションで阿蘇ホテル一番館に50kgタイプを設置している。「悪臭が発生しないし、ゼロに近い減量化にも驚いた。使いやすいしとっても便利だ」とホテル側の評価は高い。また、7月9日には、全面改築を計画している木の葉保育園(熊本市)に15kgタイプのデモ機を設置。性能に満足がいけば導入を検討したいとの前向きな返事を得ている。
 装置の据付には、電気や基礎、屋根工事を伴う。「全てを自社で施工できることが強みだ。メンテナンスを行えば半永久的に使用できるので、業者にゴミ処理を委託する費用に比べ、将来的なコストダウンに繋がる」。このメリットを最大の武器に、普及へ弾みをつけたい考えだ。
2004.08.09掲載

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