天井を甦らせる「シーリングマジック工法」
(株)日本ビル管理(熊本市) 森本 茂樹氏


 ビルメンテナンス業務にとって天井の清掃は、これまで張り替えるか塗装するかしかなく、お手上げの状態とされてきた。何とかできないかと模索していた5年前、東京で開かれた環境見本市で目にした『シーリングマジック』工法。新品同様に天井を蘇らせるという、まさに魔法≠ニの出会いだった。
 米国のクースティックグロー社が開発したもので、米国特許取得のサニタリー剤を使用した殺菌・消臭と、シリカ系吸音性微粒子のカラーコーティングにより天井を更生させる仕組み。
 防炎、吸音など従来の効果を損なうこともなく、短期間・低コストで施工。人体に無害な薬品で汚れを水と酸素に分解するなど優れた特徴を持つ。
 直感的に「これはいける」と確信した森本茂樹社長((株)日本ビル管理、熊本市上熊本1丁目9-41)は、施工代理店の契約を結び、IC工場や電力会社、ホテルなどでの施工をはじめた。店舗や生産ラインを持つ工場にとって、工事期間中の施設が利用できない時間的ロスは、即コストアップにつながる。施工後の臭いもなく、約1時間後に使用できるこの工法は、企業への営業戦略のひとつとして威力を発揮する。
 14年度には郵政公社の指定技術に認定され、リニューアル工事の設計段階の中に特殊塗装として盛り込まれた。「民間工事で信頼と実績を積み上げていけば、自ずと道は拓けていくものですよ」−公共施設への広がりが注目される。
 同社の攻める姿勢≠ヘこれだけに留まらない。廃材を利用した屋上緑化、ICプラントの超純水装置、食品工場の排水処理メンテナンス・・。環境保全をテーマに、ビル清掃という限られた分野から、建築物の内・外の環境を改善することを主眼に置いて、新技術の開発・導入を進めている。新分野ではなく、今まで培ってきた業務の延長線だ。
 ただ、いい社風と人材が揃わないと新事業には取り組まない。「会社の経営状況を全社員に公開し、経営計画も皆で作成する。人材も営業マン、施工する技術者、社内業務に携わる人などの全てが重要」。ボトムアップを大切にし、風通しの良い会社づくりを心がけている。
 52歳の今も現役のラガーマン。フットワークを活かし、情報収集に全国を駆け回る。社員が捕まえるのは困難とも。時代のニーズを的確に捉え、技術者集団として社員・パート含め220人とスクラムを組み、環境づくりにトライする。
2004.07.15掲載

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