熊本地震から5年
〜写真で見る被災地のいま〜


 震度7の揺れに2度見舞われた2016年の熊本地震から5年が経過した。復興のシンボルに掲げられた施設は次々と完成し、地震以前の姿、さらには、単に元に戻すのではなく将来の熊本の発展を見据えた創造的復興が形となってきている。
 甚大な被害を受けた阿蘇地域は、先月の新阿蘇大橋の完成で交通インフラがほぼ復旧し、国道57号をはじめ、地震前にはなかった北側復旧道路などに住民や観光客の車が多く行き交っている。益城町では、熊本高森線の4車線化が急ピッチで進み、計画延長約3790bのうち、これまでに上下線計705bの歩道部が開通。木山交差点一帯の土地区画整理も19年11月に宅地の造成工に着手し、今年1月時点で132画地に取り組み、29画地を引き渡している。
 地震発生直後、屋根瓦等が崩れ落ちる映像に言葉を失った熊本城の天守閣はこのほど再建された。今後、石垣や櫓等の復旧に入る。建物が壊れ、災害対策本部の機能や支援物資・救援部隊の受け入れ等が十分に果たされなかった被災自治体の庁舎も建て替え等が順調に進んでいる。



国道325号阿蘇大橋ルート
 先月7日に開通。落橋した阿蘇大橋(南阿蘇村)の600b下流位置に橋長525b(アプローチ部180b、渡河部345b)の新橋を建設。24時間施工や高度技術を導入し、全体で約1年4カ月の工期短縮を実現した。総事業費は約160億円。



熊本城
 被災した熊本城では、天守閣の復旧を最優先とし、震災から5年で完全復旧にこぎつけた。26日から内部の一般公開が始まる。一方で、重要文化財建造物や石垣の復旧は始まったばかりだ。熊本市の2021年度当初予算には、櫓や石垣等の復旧に約10億円の債務負担行為を設定している。



大切畑ダム
 ダム本体(西原村小森)を現ダムの南側上流に約237b移動する。前面遮水ゾーン型フィルダムで、総貯水量60万立方b程度、堤高29b、堤長237・7b。本体は熊谷・杉本・藤本・肥後JVが担当し、工期は2024年2月29日。事業費は95億7700万円。



震災ミュージアム中核拠点
 南阿蘇村河陽の東海大学阿蘇キャンパス内に建設。総事業費は15億円以内(税込)を想定し、規模は原則木造の2階建て以下で、延べ床面積は1300平方b以下としている。基本設計はo+h・産紘設計JVが担当。県の2021年度当初予算には実施設計等1億5400万円を盛り込んでいる。(写真はイメージパース)



県道熊本高森線4車線化
 熊本市東区桜木4丁目から益城町寺迫までの約3790b(うち木山区画整理事業625b)区間が対象。片側2車線で自転車通行帯と歩道を設置し、現道幅員約10bを27bに拡幅する。総事業費は約135億円。事業期間は2025年度まで。1月31日時点で歩道部5地区7カ所(上下線計705b)が開通している。



益城中央被災市街地復興土地区画整理事業
 木山交差点一帯の28・3fが対象。総事業費約140億円を投じ宅地や道路、公園、電線共同溝などを整備する。事業期間は2028年3月まで。全体の仮換地は57街区・462画地(約19・8f)に上る。工事は19年11月に宅地の造成工に着手し、1月31日時点で132画地に取り組み、29画地を引き渡している。



益城町新庁舎
 宮園の旧庁舎跡地(約1万4100平方b)に整備し、規模は免震構造でRC造4階建延べ7045平方b。施工は三井住友建設・岩永組JV、設計は山下設計・バオプラーン熊本業務委託JVが担当。事業費(予算額)は48億3400万円。近く着工し、完成は2023年3月を予定している。(写真はイメージパース)



大津町新庁舎
 5月末の竣工へ工事が大詰めを迎えている新庁舎(4月2日撮影)。免震構造のRC一部S造4階建(塔屋1階)延べ7170・76平方b。山下設計・バオプラーン熊本JVが設計し、清水建設が施工している。(写真提供・清水建設)



八代市新庁舎
 松江城町の旧庁舎敷地に整備している。S造一部RC造・CLT・免震構造の地下1階地上7階建てで、延床面積は2万7465平方b。施工は前田建設工業・和久田建設・松島建設JV、設計は久米設計が担当。2021年10月に完成予定。



人吉市新庁舎
 麓町にあった庁舎が被災したため、西間下町の市役所別館敷地内への移転整備が進められている。2020年2月に着工、7月豪雨ではコンクリート用砕石プラントが被災し、工事の一時中断を余儀なくされたが、計画どおり22年6月の供用開始を目指す。規模は、基礎免震構造のRC造5階建延べ8830平方b。施工は三井住友・丸昭JV、設計は山下設計・本田建築設計事務所・月足建築事務所JV。(写真=市提供・3月19日撮影)



水俣市新庁舎
 旧庁舎跡地に整備。規模はRC造+一部プレストレストコンクリート造、S造、免震構造(柱頭免震)地上4階+塔屋1階、延床面積8535平方b。建築を西松・坂田・坂口JV、電気を飯塚・太陽・興南JV、機械を九電工・立尾・田中JV、設計を久米・KAY共同企業体が担当。完成は2021年10月の予定。(写真=市提供、2月28日撮影)


2021.04.15掲載

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