国土交通省緑川ダム管理所
所長 吉永勝彦氏
できないより「できる」を探す


 地域の安心安全を守る重要インフラ「ダム」。洪水災害の防止を図るだけでなく、周辺環境を生かした観光資源としての活用など、時代とともにその在り方も変化している。50周年を突破した緑川ダムは、どのような未来を描いていくのだろうか。新たに所長に就任した吉永勝彦氏に今後の展望などを聞いた。


――入省後、印象に残っている事は
 これまで、建設機械の技術開発や環境対策をはじめ、河口堰・ダムの管理に携わってきた。中でも印象的だったのは、福岡県にある遠賀川河口堰の管理だ。洪水発生時にいかに安全に水を流すのかを考え、洪水後は大量に漂着した塵芥の回収やその処理、地元の方々への説明等に奔走していた。

――緑川ダムの管理に向けて
 災害が激甚化・頻発化している中で、洪水を溜めるという非常に重要な役割を担っているのがダム。ただ放流等の印象で、ダムによって洪水被害が発生していると思われがちな部分もある。施設を適正に管理していくことはもちろんだが、ダムが果たす役割についても、誤解のないように正しく伝えていきたい。

――観光資源としての活用など、ダムの在り方も変化しています
 事前放流をはじめとする運用方法の変化や、カーボンニュートラルに向けた発電のための穏やかな洪水後期放流など、高度なダム管理が期待されている。
 ダム湖とダム周辺環境を利用した観光資源としての活用についても、ニーズがあれば最大限応えていく。できないことではなく「できる」ことを探していきたい。

――地元建設業の存在は
 入省後、地元建設業の方々が、災害現場の最前線で復旧作業にあたる姿を目の当たりにしてきた。地元の事情に精通し、有事の際には迅速に対応していただき、本当に頼もしい存在だ。これから、地元建設業の発展や若い人たちに選択される魅力的な業界を目指して、一緒になって頑張っていきたい。

――休日の過ごし方、趣味など
 昔からものづくりが好きで、レザークラフトを長年続けている。かばんや財布、ブックカバーなど、図面を起こして一から製作し、自分で愛用している。
 また運動も兼ねてロードバイクに乗っており、先日は熊本市内を走ってきた。どちらかと言うと整備する方が好きで、部品をバラし、フレームの色を塗り替えたりして楽しんでいる。

【略歴】吉永勝彦(よしなが・かつひこ)。佐世保工業高等専門学校卒業後、1989年(平成元年)に建設省関東地方建設局入省(当時)、97年(平成7年)に芝浦工業大学機械工学科卒業。本省公共事業企画調整課長補佐、九州地方整備局河川部地域河川課長を経て、4月から現職。佐賀県武雄市出身、1968年(昭和43年)生まれ。
2023.6.12掲載

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