国土交通省緑川ダム管理所所長
松岡 忠浩氏
これからの50年を見据える

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 激甚・頻発化する自然災害のなかで、ダムが持つ役割の重要性が再認識されている。緑川ダムは今年で50周年。長きにわたって地域を支え、住民にとって無くてはならない存在となった。大きな節目の年、所長に就任した松岡忠浩氏は「これからの50年に向けて、時代に合わせた地域のニーズにできる限り応えていきたい」と意気込む。



――前任の福岡市では水資源対策を指揮されていたそうですが
 福岡市及び周辺自治体は大きな川が流れておらず、筑後川から飲水の約3分の1を分けてもらっているため、筑後川流域関係者との相互理解が重要になってくる。特に渇水時は、利水関係者との調整などに注力した。

――ダム管理50周年を迎えました
 緑川ダムは、地域の要請を受け「洪水調節」「かんがい用水の供給」「発電」の三つの目的で、1971年3月に完成。同年4月より管理を開始し、今年で50周年を迎えた。
 計画降雨に迫るような大雨が予想された場合に、前もってダムの容量を確保しておく事前放流方式の採用や、更なるダム湖及び周辺の利活用の促進などこれからの50年≠ノ向けて、時代に合わせた地域のニーズに出来る限り応えていけるよう努力していく。
 また50周年記念事業として、特別なダムカードを配布している。これを機に立ち寄って頂き、ダムの魅力を感じてほしい。

――緑川流域の印象は
 名は体を表すという言葉があるが、緑川はまさにそのもの。深い緑色の水をたたえ、山はどこまでも深緑だ。鮎漁や棚田に代表されるように、古くから生活と水との関わりが非常に深い地域でもある。

――7月豪雨から1年が過ぎ、流域治水への転換が進んでいます
 住民の方々と話をしていく中で、想定を超えるような豪雨災害には、既存の治水施設だけでなく流域全体での対策が必要であるとの認識が高まっていると感じる。少しでも被害を軽減できるよう、関係機関と連携して対策を進めていきたい。

――地元建設業へのメッセージを
 熊本地震や近年の豪雨災害での被災地復旧をはじめ、地元建設業の皆様の使命に満ちたお仕事に対し、深く敬意を表するとともに、無くてはならない業種であることを再認識している。地域に根ざし、働きがいのある人気の業界になるよう期待し、これからも支援していきたい。

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【略歴】松岡忠浩(まつおか・ただひろ)。熊本県立熊本農業高等学校卒業後、1982(昭和57)年に建設省入省。九州地方整備局雲仙復興事務所技術副所長、同遠賀川河川事務所技術副所長などを経て、2019(平成31)年4月から福岡市総務企画局水資源対策担当部長を務めた。南阿蘇村出身。1963(昭和38)年生まれ。
2021.7.21掲載

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