国土交通省菊池川河川事務所長
小田 禎彦氏
地域建設業の持続的発展へ連携

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 国土交通省菊池川河川事務所の所長に4月、小田禎彦氏が就任した。地域建設業の持続的発展に向けては、守り手としての使命感だけに頼らず、パートナーとして業界の声を聞きながら連携して取り組む姿勢を強調する。



――入省後の心に残っている出来事は
 10年前の2011年は印象に残る1年となった。東日本大震災発災後にリエゾンとして被災自治体に派遣され、自治体職員が災害対応に追われる中で市長などをサポートした。
 さらに同年にタイで発生した大規模な洪水では、国際緊急援助隊(排水ポンプ車チーム)の一員として派遣され現地班班長として排水活動を行った。日系企業の多くの工場が操業を停止し、サプライチェーン寸断の影響が日本のみならず世界中に波及したことから、タイ政府の要請を受けたもので、排水に特化した車両は世界中にも類が無く、日本ならではの貢献だった。

――菊池川の印象は
 米作りと米を運ぶための水運として欠かせない菊池川を中心に発展してきた流域の歴史と豊かな文化は非常に魅力的だ。この歴史的なストーリーが「菊池川流域二千年の米作り」として17年に日本遺産にも登録されている。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、観光など非常に厳しい状況にあるが、流域自治体とも連携・協力し、菊池川流域の魅力を発信するとともに、河川空間を活用することで地域振興に繋がるようなお手伝いができればと考えている。

――今後の河川整備の進め方は
 気候変動の影響によって、全国的に洪水発生の危険度が高まっている状況の中、菊池川においても、これまでに整備した堤防等の施設能力を上回るような洪水の発生が懸念される。これに対応するため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」も活用し、事前防災対策を加速させると同時に、流域の関係者全員参加で被害を軽減させていく「流域治水」に取り組む必要がある。これまで築いてきた流域の皆様との連携を更に強化し、取り組みの実効性を高めていきたい。

――地域建設業者へのメッセージを
 16年熊本地震が発生した際、九州地方整備局河川工事課で緑川・白川の堤防復旧を担当し、建設業者の活躍を目の当たりにした。その後は技術管理課で復旧・復興工事の円滑な施工の確保に万全を期すため、復興係数・復興歩掛を担当した。地元建設企業の体制の維持が、多発・激甚化する自然災害への備え、社会インフラの整備に不可欠となっている。
 地域の守り手としての使命感だけに頼るのではなく、パートナーとして業界の声をお聞きしながら地域建設業の持続的発展に向け、連携して取り組んでいきたい。
  ◇  ◇  ◇
【経歴】小田禎彦(おだ・よしひこ)。 福岡県立八女工業高等学校卒業後、1985(昭和60)年に建設省に入省。九州地方整備局河川部河川工事課課長補佐、企画部技術管理課課長補佐などを経て、2019(平成31)年4月から国土交通省水管理・国土保全局河川環境課課長補佐を務めた。福岡県出身。1966(昭和41)年生まれ。
2021.6.24掲載

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