熊本県法面保護協会会長に就任
松村 陽一郎氏
技術力を高め、災害を未然に防ぐ

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 熊本県法面保護協会が5月に開催した定時総会で、新会長に松村陽一郎氏(丸昭建設代表取締役)が就任した。`県民の生命・財産を守るaを掲げ、災害に強い県土づくりに貢献する法面保護協会。就任から約1カ月が過ぎ、会員42社の舵取りを担う松村新会長に抱負や方針、取り組みなどを聞いた。



――就任の抱負は
 国土強靭化3か年事業の予算が今年度末で終わる。新型コロナがなかったら、その後も災害に強い国土を造るべく事業延長となって、法面保護協会員に対する仕事量の確保もできていただろう。だが、いまはコロナ対応予算が一番で、その次が国民の生活だろう。一番懸念されるのは、公共事業予算が後回しにされるのではないかということ。次年度以降、予算をいかに確保していくかが問題だが、業界だけで動いても解決しない。発注者や政治家の方とも連携しながら、十分な予算確保に向け、しっかりと働きかけていく。

――今後の方向性は
 法面保護は、社会資本整備を通じ`県民の生命と財産を守ることaが第一の目的。会員にはその意識を再認識し、施工に当たってもらいたい。熊本地震を経験したことが、色々な面でプラスになっている。大規模な災害復旧もそうだが、危険個所の予防的な仕事が法面工事。復旧・予防の両面からみても特殊な業種で、その点について会員の認識は高い。今後も技術力を高め、専門業者として、しっかりとした施工を行い、県民にお返ししていくことが大事だ。

――課題と打開策は
 一番の課題はマンパワー。技術者・技能者の高齢化、人口の減少などで、どの会社も従業員を減らしたくないのに人間が減っている。外国人技能者の育成に努めている会社もあるが、本来なら地元の若者を専門分野に長けた技能者・技術者に育てるのが一番良い。しかし法面だけでなく建設業界全体をみても、やはり入職者が少ないのが現状だ。
 熊建協の人吉支部長にも今年度就任した。振興局等への挨拶回りで、「人材確保にも取り組んでください」と言われたが、「建設業だけの課題ではない」と答えた。私は数年前から「県内にある工業系高校の生徒達を地元建設産業に入職させるような手立てをしませんか」と県や国に言い続けている。地元に残り、自分が学んだ分野で就職すると何らかの補助金を出す―などの施策が必要ではないか。将来のことを考えるなら、県が独自で出来ることや国による教育改革などを進めてもらいたい。

――ICT施工や4週8休制など働き方改革への取り組みは
 ICT施工も働き方改革も建設業の未来を考えれば素晴らしいものだが、様々な課題があり完全導入には、かなりの工夫が必要だ。
 国交省発注の法面ICT施工は進んできたが、県発注で会員企業が施工したところはまだない。県も導入を事前申請すれば工事成績に加点されるが費用が掛かる。計上した費用を工事代金に上乗せしてくれるのか―という話にもなってくる。容易な個所では活用できるが危険を伴う施工では、やはり人力が必要となってくる。
 4週8休を実施できている企業は、人吉・球磨地域で1割程度。生コンや材料業者など、すべて建設産業が休みになれば可能かもしれないが、災害時の出動や天気に左右される。より良い働き方改革となるよう、受注者(我々)と発注者が対等な立場で、お互いの意向・意見を交わし、若者が業界へ入職する要素の一つとして定着させたい。

――今後のコロナ禍の対処について
 現場でもコロナ対策を講じているが、マスクを着用しての作業は長く続かない。このままコロナが収束すれば良いが、第2波、第3波がいつ襲ってきてもおかしくない状況。その事態になっても現場を休止させないよう、熱中症対策も含め、様々な対応策を検討している。
2020.6.25掲載

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