国土交通省緑川ダム管理所
光武 孝弘 所長
ダムの重要性アピール

写真

 近年、全国各地で豪雨災害が頻発する。住民の生命や財産を守るため、洪水調節機能を持つダムの役割は大きい。一方でインフラツアーなど観光資源としての有効活用も注目されている。緑川ダムは来年、建設から50年の節目を迎える。4月に就任した光武孝弘所長は「維持管理などの課題もあるが、多くの人にダムの重要性をアピールしていく」と意気込む。



―就任から半年が経ちました
 梅雨入りが遅く、田植えの準備に支障を来すほどの渇水傾向だったため、土地改良区からの要請を受け、かんがい用水を緊急的に補給した。梅雨に入ると九州の広範囲で大雨となり、熊本でも災害の恐れがあったが、洪水調節容量を最大限に確保し、被害を未然に防ぐことができた。
 ただ秋雨前線の影響で、佐賀県や長崎県などでは大きな被害が生じている。今後台風の発生も予想され、気を引き締めていかなければならない。

―近年の豪雨災害を踏まえ、ダムが果たす役割とは
 洪水時の放流量低減を第一に取り組んでいる。仮に計画規模を超えるような大雨が降った場合でも、操作規則に基づき適正に対応すれば、洪水のピークを遅らせ、避難する時間が確保できる。そのためにもダムの操作に関する情報をしっかりと発信していく必要がある。
 ダムが持つ能力を最大限に発揮できるように準備することも大事。今年度は放流設備や電気設備などの維持管理に加え、放流警報局の整備に取り組む。また、近年の豪雨や熊本地震などの影響で上流からの流入土砂が増加しており、堆積土砂の対策を計画的に進めていきたい。

―ダム周辺の施設が充実していますね
 湖畔の自然を利用したアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・美里」には、ダム湖を横断する国内初のジップスライドがある。近くにはオートキャンプ場があり、ダム湖ではバナナボートとカヌーが体験でき、ワカサギ釣りなども楽しめる。是非足を運んで豊かな自然を満喫してほしい。
 来年はダム完成から50年の節目を迎え、記念イベントの開催を検討している。流域自治体や住民と一緒に盛り上げていきたい。職員の名刺には50年を記念するイラストを入れており、多くの人にアピールしていく。特別なダムカードが作成できればとも思っている。

―熊本での勤務経験は
 菊池川や球磨川、川辺川などの事業に携わってきて、3年ぶりの赴任となる。熊本地震時は、九州地方整備局の河川環境課長として阿蘇大橋地区の大規模斜面崩壊現場の対策にあたった。梅雨の大雨に加え、黒ボクと呼ばれる土壌にも悩まされる難工事となったが、図面も何もないところから施工していく建設業の底力を改めて知ることができた。

  ◇  ◇  ◇
【略歴】光武孝弘(みつたけ・たかひろ)。1980(昭和55)年に建設省入省(長崎工事事務所)。佐賀県出身、1962(昭和37)年生まれ。
2019.10.10掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日