熊本県建設業協会玉名支部
支部長 中川徹治氏
復興とともに“担い手確保”の対策を

写真

 熊本県建設業協会玉名支部が5月に開催した通常総会で、新支部長に中川徹治氏(中川組代表取締役)が就任した。復旧・復興が落ち着けば、工事量減少とともに担い手問題が深刻化してくる。協会本部の土木委員長も兼務する中川支部長に、様々な課題を抱える業界の今後の施策や活動方針を聞いた。





――就任の抱負を
 当面は熊本地震からの復旧・復興に全力を傾ける。協会全体はもとより玉名支部としても優先事項ではないか。だからといって地元の仕事量が減らないようバランスの取れた発注を関係機関にお願いしていく。
 県は目標として今年度中に震災復興関連の約9割を発注するとしているが、中身の伴わない発注では困る。これまでも発注された中には実際に出来ない仕事もあった。しわ寄せや負担が業者にこないようにしていただきたい。

――抱える課題は
 担い手不足が一番の課題だと思う。担い手確保には経営者の努力も問われるが、色々な施策を講じ取り組んでいく。発注者とも協力し合って、ICT土工の普及(生産性の向上)、現場環境に応じた週休2日制の導入―等に取り組んでいくことが大事ではないか。
 ICT土工は、大規模な盛土や切土工事等では効果が大きいが、施工量が少ない工事ではコスト面等の課題も多い。スマホやタブレットに慣れ親しんでいる若者に興味をもってもらうきっかけとしては良いが、年配の技術者やオペレーターが操作に慣れるまでには難しい面もある。
 いまは復旧関連で仕事量も万遍なくある。しかしその後は、いままでのように春先仕事が少なく、秋頃発注が増え、年度末までの工期といった流れに戻る懸念がある。そうなると仕事が集中し、下請、孫請、専門業者に至るまで負担になっていく。年間を通して仕事があり、ある程度の利益が上がれば、担い手の確保にも結びつく。これからも発注の平準化を要望していく。
 週休2日制については、人員や工期、天候等の影響もあり完全週休2日は、いまの段階では無理だ。若手入職には大切な要素だが、2日休んでもそれに見合う設計や単価の変更、従業員が安心して生活できる経営努力が必要となってくる。工程や養生に合わせ、この期間休むといった柔軟な週休2日から取り組んでいければと思う。

――行政への要望は

 いまの入札制度では会社の実績だけではなく技術者の力量によるところが大きい。設計変更する際、しっかりとした理論を持ち上手に提案できる技術者を育てていかなければ、ただ単に待ち・受けの状態では利益に結びつかない。改正品確法の施行により改善されてきたが、まだまだ現実と合わない設計もある。きちんとした変更を見てもらいたい。

――支部活動について
 継続している稚魚の放流や建機試乗、年2回の献血活動、高校生の現場見学会など地域貢献は今後も続けていく。活動においては青年部が大変頑張ってくれている。
 災害対応では、2年前に発生した鳥インフルエンザで、支部の活動にかなりの評価をいただいた。それに傲ることなく、これからも迅速な対応をしていくことが我々の役目の一つだ。
 将来的には若者入職に向けたICT土工の勉強会や完全週休2日に向けた取り組みを本格化させていく必要もある。
2018.6.25掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日