有明海沿岸道路建設促進熊本県期成会会長
大西一史・熊本市長
熊本県内区間初の杭打ち
実質的なU期区間着手と認識

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 有明海沿岸道路の県内区間初となる「三池港IC連絡路」の中心杭打ち式に伴い、これまで福岡・佐賀県に対して遅れを取ってきた熊本県側の整備にようやく一筋の光が差し込んだ。同道路建設促進熊本県期成会の会長を務める熊本市の大西一史市長は、13日の式典で「実質的なU期区間の着手」と述べ、県内初の事業区間への期待感を示した。U期区間の最終地点となる熊本市までの早期全線開通へ向け、大西市長に道路整備で大きく期待することや今後の取り組みなどを聞いた。




――県内初区間の事業着手をどう捉えていますか
 有明海沿岸道路が本年度から熊本県側で事業着手することとなり、また9月13日には測量の着手式が開催される運びとなりました。国会議員の皆様や国土交通省をはじめ、事業の推進にご尽力を頂きました関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。
 有明海沿岸道路U期(大牟田市〜熊本市間)については、既に整備中の有明海沿岸道路と接続し、佐賀市、大牟田市、熊本市など有明海沿岸地域の連携を強化し、同地域の産業・観光振興を図る大変重要な社会資本です。
 平成10年に地域高規格道路の候補路線として指定されたのを機に、沿線市町による有明海沿岸道路建設促進熊本県期成会を発足させ、早期整備に向けた要望活動をこれまで行って参りました。
 その間、福岡、佐賀の有明海沿岸道路約55`区間については、福岡区間約29・2`のうち19・3`で供用され、平成29年度までには全線で供用される見込みです。また、佐賀県区間についても約4・5`が供用されるなど、着々と事業が進んで参りました。
 こうした中、私ども熊本県期成会のこれまでの活動に加え、平成25年には荒尾・玉名地域の経済界を中心とした期成会が発足するなど、地元の機運の更なる高まりもあり、国会議員の皆様や国土交通省にもご尽力いただき、平成25年度の計画段階評価(大牟田市〜長洲町間約9`)の着手以降、大変早いペースで調査を進めて頂き、今年4月には都市計画決定が行われました。
 そしてこの度、三池港インターチェンジから荒尾競馬場跡地付近までの約2・7`の整備着手に至ったものです。
 今回の事業着手は三池港インターチェンジの延伸という位置づけですが、私ども期成会としては実質的なU期の着手と捉えており、大変喜んでいる次第です。
 今後も早期整備に向けて引き続き関係機関と連携して参りたいと考えています。

――U期区間の整備で大きく期待することは
 U期区間を含む有明海沿岸道路は、佐賀、福岡、熊本の各都市、あるいは有明佐賀空港、三池港、長洲港、熊本港などの重要な施設を繋ぎ、交流の促進や産業の振興に大きく寄与する道路です。
 沿線の大牟田市や荒尾市、長洲町では化学、金属、造船などの産業が盛んな地域で、これらの産業の素材や製品は熊本港などを通じて東アジア等へ輸出入されています。
 近年では、東アジア経済の急速な発展に伴い、熊本港ではアジア向けのコンテナ取扱量が急速に増加しています。
 工業が盛んなこれらの地域と空港や港を直接繋ぐことで、既存の産業の活性化はもとより、新たに関連する産業の進出を促進するなど、経済の好循環をもたらし、地域の発展に大きく貢献するものと期待しています。
 観光においては、今年7月に「明治日本の産業革命遺産」が熊本県内では初となる世界遺産登録が決定されました。同遺産には荒尾市の万田坑や宇城市の三角西港、福岡県の三池港なども含まれており、今後、世界各地から多くの観光客が訪れることが期待されます。
 更に熊本環状道路や熊本天草幹線道路等との接続で、九州の中央に位置する本市の拠点性向上に繋がるとともに、大きな視点で見ると、長崎も含めた広域観光ルートが形成され、九州の一体的な振興にも繋がるものと考えています。

――今後の期成会の動きは
 10月初旬に、県選出国会議員、国土交通省及び財務省への要望活動を予定しています。期成会としては、関係自治体や経済界はもとより、国、県とも連携しながら事業を促進していきたいと考えています。

――熊本市は、次期整備区間(荒尾市〜熊本市)の整備検討に入ったそうですが
 大牟田市〜長洲町間の計画段階評価時に、長洲町〜熊本市間についても、「地域の現状・課題等について整理の上、国、熊本県・熊本市で連携して整備方針や優先区間等の検討を進めていく予定」としてあり、現在、国、県、市で防災、観光、産業、医療の観点から、整備に向けた課題等について検討を行っているところです。
 熊本市としては、一日も早く早期事業化が出来るよう、関係機関と調整、あるいは促進要望活動を展開して参りたいと考えています。

――社会資本整備を担う地場建設業者に対してメッセージをお願いします
 建設業界においては、長らく続いた公共工事の減少や競争の激化などにより、経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続いており、技術者・労働者の高齢化、若年入職者数の減少による担い手不足への対応が喫緊の課題となっています。
 一方、経済・地域の活性化や競争力を強化する都市基盤の整備のみならず、地域の安全・安心の確保に向けたインフラの防災・減災対策や老朽化対策、また、災害時の応急活動など地場建設業者が担う役割はますます増大しており、その安定的・持続的な発展は必要不可欠と認識しています。
 このような中、平成26年度に現在及び将来にわたる建設工事の適正な施工および品質の確保と、その担い手の育成・確保を目的として、公共工事の基本となる「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)を中心に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)、「建設業法」の一体的な改正が行われたところです。
 この法律に基づき、受発注者が互いに講ずるべき基本的・具体的な措置について、緊密に連携しながら実施し、経営基盤の強化や担い手の確保・育成など健全な発展を図ることで、地場建設業者の皆様と共に、地域の社会資本の整備を支え、雇用や経済への貢献に取り組んでまいりたいので、お力添えをよろしくお願いします。
2015.9.17掲載

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