就任インタビュー
熊本県建設業協会上益城支部支部長 尾上一哉氏
 建設業の役割を社会に伝える


写真

 熊本県建設業協会上益城支部は、平成24年度の通常総会で尾上一哉氏(尾上建設)を新支部長に選んだ。中山間地のインフラ整備や支部員各社の経営課題、入札制度の問題点について今後の取り組み、施策、活動等をどのように進めていくか聞いた。




--就任にあたって抱負をお聞かせ下さい
 まずは地方建設業の評価と地位を向上させること。そのためには、建設業の本当の役割を社会に伝え、「地域に不可欠な重要産業」であることへの理解を広めていきたい。

--上益城郡内(中山間地)のインフラ整備の状況は
 JRが通っていない地域であり、人も経済もすべて車に依存している。交通の利便性向上というよりは、それ以前の問題を多く抱えている後発地帯で、社会資本の整備は急務といえる。九州横断自動車道延岡線は、州都熊本の実現に向けても早急な開通が望まれており、郡内では建設業だけでなく全産業の振興に直結する。地域をあげて予算獲得に努力すべく、諸団体との協働を強めていく必要がある。

--支部会員の経営改善等で何か策はありますか
 筋書きなき淘汰合戦の中にあって、支部会員は疲弊する一方である。企業合併に関しても、経営方針や社風の違いなど課題が多く、前途多難な状況にある。今は、自社だけでなく建設業全体を守るために協働すべき時期で、支部の目的に掲げている「互譲互助」を強化していきたい。会員各社の長所を集め、利益が得られる協働体制の在り方を模索していく。
 上益城は中山間地が8割を占める。同じような全国の中山間地域の建設業者との交流や連携を図り、特性や重要性を共通認識することで地方建設業の地位向上の足がかりとしたい。また、建設業経営先進国ドイツ等の研修を通じて、経営・技術のレベルと品格の向上を図り、グローバルな動きを捉えた建設業団体として、近未来の目標を設定するつもりだ。

--今の入札制度についてはどう思いますか
 適正だと公表した金額を「競争の原理」という呪文で競わせる日本の入札制度は、異常。経営事項審査という、あまりにも過酷な「競争原理」を国民が知れば、金額による競争の必要はないと思うはず。国民に強くアピールすべきだ。
本質的な課題は入札制度の段階的改革などではなく、建設産業から締め出された労働者の受け皿がないこと。この問題への対処は、政官業の責任として喫緊の課題だ。さらに、建設会社の防災能力の強化と、老朽化した社会資本の維持更新能力を高めることは、直接的な優先課題だと思う。入札制度改革は早急に終わらせるべきであろう。
2012.06.07掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日