就任インタビュー
熊本県土木部長 船原幸信氏
 地元の要望・意見に誠実対応


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 熊本県土木部長に就任した船原幸信部長は、西日本建設新聞社のインタビューに応じ、今後の公共投資のあり方について「予算が無いは禁句。更なる選択と集中を進める一方で地元の要望にはしっかりと耳を傾ける」方針を示した。厳しさが続く建設業界に対しては、新熊本県建設産業振興プランとアクションプログラムに基づき、企業戦略としての取り組みを積極的に支援していく姿勢を強調した。




――蒲島県政2期目と同時期での部長就任となります。
 知事のマニフェスト実現に向けた新4カ年戦略が策定中で、その施策推進を担うことにやりがいと重責を感じている。財政は非常に厳しいが、本県の社会基盤整備はまだ道半ば。予算の確保にしっかりと取り組みたい。事業の実施にあたっては、更なる選択と集中を進める一方で、地元の要望や意見にはしっかりと耳を傾けて誠実に対応していく。「予算が無い」という言葉は禁句としたい。
――入庁以来、道路事業や都市計画に長く携われています。
 道路整備については、2車線で何とか安全に通行できればというニーズもあれば、90分構想のように高速性、時間を求めるニーズもある。国交省は、人口減少に伴い将来、交通量の伸びが止まると予測していた。しかし、それは予測であって、将来、あまり人も住まず、車も通らなくなるから整備が必要ないかというと、それは別。そうならないようにするのも、私たちの責務であろう。
 熊本市の政令市移行に伴い、直轄国道を除く市域の国県道が市管理となったが、県から土木部技術職14人、事務職10人を2年間派遣し、市と緊密に連携していく。熊本市以外の道路整備については、従来どおり、均衡ある県土の発展のため、バランス感覚を持ちながら、かつ選択と集中によって取り組む。熊本市とその周辺だけに投資が集中することは無く、必要なところに手当をしていく。
――県内公共投資が低迷し建設業界は厳しい状況が続いています。
 東日本大震災の復興事業を除けば公共事業予算の増加はなかなか考えにくく、今後の経済動向によっては、さらに厳しい状況になる可能性もあり、我慢の時が続くのではないか。しかし、必要かつ良質な社会資本整備、また防災対策を確固なものとして安全安心な地域づくりを進めていく必要性というのは、更に高まっている。
 これから梅雨時期に入るが、行政の対応には限界があり、機械を保有する現場の事業者に頼るのは必然だ。地域の事業者が無くなると、その地域の安全安心が保てなくなるだろう。
 公共投資額と事業者数は本来、連動しなければパイの食い合いになる。そこまで事業者数が減っていないのだから、合併の検討も必要だ。しかし、優良企業同士で会社規模が大きくなるのはいいが、負債を抱えている企業との合併は躊躇してしまうという事業者の声も聞く。行政としてどこまで立ち入って責任を持つのかという話にもなるので難しい。
――業界へのメッセージをお願いします。
 更なる技術力の向上を図るとともに、コスト縮減について発想の転換が必要ではないか。さらには、新分野への取り組みも求められる。
 県としても、技術と経営に優れ社会に貢献する企業が正当に評価される環境づくりのために、新熊本県建設産業振興プランとアクションプログラムを策定しており、これに基づいて各企業が経営戦略として実施する取組を支援していきたい。
 いずれにしても建設産業界は、私たちにとって、常に必要不可欠なパートナーだと思っている。

(ふなはら・ゆきのぶ)昭和28年4月14日生まれ、合志市在住、昭和52年3月九州大学工学部卒業
 職歴=昭和52年熊本県採用、平成10年土木部道路建設課主幹、11年土木部都市計画課主幹(都市圏道路担当)、13年球磨地域振興局土木部主幹兼工務課長、15年鹿本地域振興局土木部企画調査課長、17年土木部土木審議員兼土木技術管理室課長補佐、19年阿蘇地域振興局土木部長、20年土木部都市計画課長、22年上益城地域振興局長。
2012.05.10掲載

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