就任インタビュー
熊本県左官協同組合
 理事長 村四郎氏
 左官業の利点活かし難局打開


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 熊本県左官協同組合の新理事長に村四郎氏(牛qコ業務店・玉名市)が就任した。景気低迷が続く中、左官業界でも多くの業者が厳しい経営を余儀なくされている。このような状況で、舵取りを託された新理事長に今後の運営方針などを聞いてみた。







――現在の業界の現状は
 組合設立当初120社ほどいた組合員も、現在では81社に減少した。さらに、近年における建築物の内装や外装には、左官技能を必要としないクロスや外装板などが多く活用され、仕事量も激減している。
 しかし、どれだけ厳しい状況に直面していても「左官」は日本の伝統を守るためにも決して失われてはいけない職種。そして、左官は一番応用の利く業種でもあり、ちょっとした土木工事やタイル、石積み、さらに九州新幹線工事では、線路の打設も行った。
 このように多種多様な利点を活かし、組合員が団結してこの苦しい時代を乗り越えていかなければならない状況にある。

――具体的にどのような運営方針を考えているか
 組合内部の活動としては、ブロック積みや洗い出し施工、新材料の講習会を開催して、組合員の連携強化や社会的地位の向上に取り組んでいきたい。
 対外的には、適正単価受注を強く訴えていきたいと思っている。また、人体に無害でエコロジカルな「珪藻土」「漆喰」など自然素材の利用促進を図っていきたい。「呼吸する家」というのが最も体に良い。そのためには、需要を増やすように働きかけを継続的にしていくことが重要だ。

――青年部の活動が活発だと聞くが
 約20人の青年部会員には、組合活動への助力はもちろん、「熊本県技能祭」や「ものづくりチャレンジ教室」にも積極的に参加協力してもらっている。チャレンジ教室では、児童達にどろ団子作り≠指導し、左官作業の楽しさを伝えてくれている。
 また昨年、日本左官業組合連合会の定期総会が熊本県で初開催された時、青年部が本当に頑張ってくれた。これからも、次世代を担う頼もしい若者の活躍を期待している。

――技能継承についての考えは
 今は、入社して10年が経過しても一人前になることが難しい。なぜならば、実践する機会(現場)が急激に減ったからだ。基本的な技術は、訓練校で学べるが、実践的なことは現場でないと伝えられない。
 住宅建築は、一部に自然素材思考もあるが、今はハウスメーカーが主流。その中で左官工事の分野は少なくなってきており、なかなか若者が経験を積むことができない。技能継承のためにも、塗り壁づくりの復興が一番の願いだ。

――新理事長としての今後の抱負を
 微力ではあるが、組合員のメリット増強に努めるとともに、異業種との交流をより深め、業界、会社、年齢など様々な枠を越えて、ともに発展していきたい。
2011.06.30掲載

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