「意識改革し、新たなスタートを」
(社)熊本県建設業協会会長 吉田 孝夫氏


吉田孝夫会長

 (社)熊本県建設業協会の8代目会長に吉田孝夫氏が就任。「機動力のある協会づくりを目指したい」と抱負を語った。


-任期途中での会長交代は、熊本県内の建設業界にとって少なからず衝撃を与えたと思われるが
 かなりの衝撃、一大ショックだった。県内有数の企業、ましてや現役協会長の企業がああいう状態に追い込まれるのは非常事態。実際、毎年50社程度が淘汰されており、この状態が続けば余剰人員を抱えているところからつぶれていく。三位一体改革や市町村合併のなか建設産業が埋没しかかっている。
-何が今、求められているのか
 それぞれの会社の意識改革に尽きる。見方、考え方を改め、新しい建設業界に変えていくことが必要。これまでの建設業経営は、景気動向に応じてアクセルとブレーキを交互に使えばよかった。しかし今はブレーキの踏みっぱなし状態で、むしろバックギアへとシフトされている。大波小波はこれまでも乗り越えてきたが、現在の状況は津波が襲ってきた状態と言える。
-生き残る道を具体的に言えば
 県の発注額がピーク時の4割にまで減少しているなか、企業もその予算規模に合わせた会社経営をシビアに努力していかないといけない。大雑把な経営では存続できないということ。もちろん協会の姿も改革していくことが必要で、県に対しては、工事の大小にかかわらず「地元の仕事は地元に」という体制づくりを要望したい
-何か特効薬は
 予算規模に応じたリストラが必要。大手企業は既に終えているが、県内企業はまだこれからだ。新分野進出や企業合併なども言われているが、本業はあくまでも建設業であり、合併優遇措置も暫定的なものではどれだけ効果があるのか。また、この状態のなかでのCALS/EC導入も足かせになっている。技術者は書類整理ばかりで大変。本来の仕事である現場確認になかなか行けない状態で、技術力の低下も懸念される。行政は業界側の視点に立ち、時期を的確に判断して施策を展開してほしい。
-九州新幹線関連の事業は今後も増えてくると思われるが
 熊本県の土木費予算で見ると、約100億円が負担金。JRや新幹線工事へ地元企業参入が難しい今、この負担金が県外大手企業へと流れていく。なんとか参入できるよう、県・熊本市の協力を仰ぎながら、引き続き要望・陳情を続けていく。
-熊本市がPFIで進めている総合保健福祉センターは
設計から建築、設備、維持管理まで全て県内の企業が担う『地元完結型』として参加できるよう協会として取り組んでいきたい。国内で200件ほどPFIがあったが地元が受注できたのは僅か2〜3件しかなく、厳しい状況ではあるが、建築部会を中心に協会をあげて支援・応援をしていく。
-重点的に取り組む施策は
 新規に建設版「地産地消」に取り組む。端的に言えば、熊本県内で発生する工事は可能な限り熊本の地場企業で受注しようということだ。重要な基幹産業であり、社会資本整備の担い手として、また雇用の受け皿としての役割を担っているということを提案・主張していきたい。また、昨年9月に策定した協会版「建設業再生アクションプログラム」の推進も重要だ。行政や社会の認識以上に厳しい今、建設業崩壊防止に向けての緊急対策を盛り込んでいる。この「地産地消」と「アクションプログラム」を、県民運動として展開。発注機関や民間企業、一般県民、業界内部に訴えていきたい。
-協会員1145社に対してメッセージを
きょうが「終わりの始まり」。お互いに新たな建設業としてのスタートをはじめようと言うこと。アンケート調査や支部単位が活発な意見交換、活動をすることで協会が盛り上がる。機動力ある「動く」協会をめざしたい。
2005.07.28掲載

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