実績・経験活かしCALSを支援
(株)インターウェーブ 代表取締役 倉橋利一氏



 熊本県内においてCALS/EC教育事業を展開していた(株)キーネット九州支社が三月末で閉鎖され、同事業を(株)インターウェーブ(倉橋利一社長、鹿児島市)が引き継いだ。倉橋社長に、これまでの経緯や業務内容、今後の取り組みなどを聞いた。

−御社の沿革、業務内容は
 平成9年3月、建設業向けにOA機器の販売・メンテナンス、パソコンやCADなどのソフトウェア販売・サポート、コピーサービス・竣工写真などの撮影、CADトレース・GISデータ入力などの事業を開始。その後11年度に、電子納品の受託加工を請け負ったこともあり、電子入札・電子納品の支援サポート、教育、コンサルティングを新事業として取り組んでいる。エリアは福岡、熊本、宮崎、鹿児島など九州を中心に、また、東京など関東地区にも電子納品支援・教育を事業展開している。
-何故、キーネットからCALS事業を引き継がれたのか
 3月初旬、キーネットが、事業縮小に伴い九州支社を閉鎖する経営判断を下し、4事業(環境事業、セキュリティ事業、空気触媒事業、教育事業)がそれぞれ売却されることになった。そこで弊社に教育事業のCALS部門(電子入札・電子納品)を引き継いでもらえないかとの依頼があり、引き継ぎを決めた。
-引き継ぎの依頼がきた理由は
 CALS/ECには、税理士や弁護士、一級建築士等と同じように行政政策として資格認定制度がある。弊社では、公的機関に導入・支援・教育が出来るCALS/ECエキスパート資格者を有し、それ以外にもインストラクターを数人保有している。CALSは専門的な公共政策であり、この支援に特化し資格者と実績を有しているから、引継ぎ依頼が来たのだと考えている。
-これまでの実績が認められたのでは
 電子納品については、国交省や農水省、道路公団、鉄建公団など数百件実施した。国交省の場合、電子納品を一括してチェックする機関があり、1年後にチェックされ再提出を命じられた事例も報告されている。そのため、完成検査時に指摘を受けたり、発注者が感情的に工事成績評点に影響を与えないよう、有資格者を持つ企業の適切な支援・アドバイスが必要だ。
 研修については、鹿児島県建設業協会のCALS検討委員でもあり、昨年度、キーネットと業務提携し、同協会で延べ1,200人に対して研修を行った。研修後のアンケート調査でも、高い評価を得ている。
-経済産業省からCALS/ECで全国初のIT経営百選に選ばれたが
 正直、大変驚いている。全国のIT企業の中から選出されるもので、IT新興企業だけでなく従来の企業がいかにIT技術を活用して経営力に結び付けているのかがポイントとなる。CALSのスタート時から地道に取組んでいた事業が、このような形で評価されたことは非常に嬉しい限りで社員一同喜んでいる。
-熊本県内での活動拠点は
 4月1日付けで熊本支店を開設し、業務を開始。支店長にCALS/ECエキスパートの田中俊顕氏が就任した。同支店を拠点に充実したCALS支援が行えるものと確信している。
-熊本県建設技術センターのCALS対策研修を正式に受注されたが、今後、教育事業をどのように展開するのか
 CALS研修事業は、これまでキーネットと弊社が提携して事業を展開。熊本県内においては、ここ1、2年で急速に進展し、現在では全国トップの実施状況となっており、全国的にも注目を集める県になっている。今後は熊本以外の他県へも積極的に展開していきたい。
-鹿児島県内でCALS支援事業協同組合を設立されているが、どのような活動を
 電子化の流れに対応できるよう、建設業におけるIT活用の普及を目指している。定期的に開くセミナーで、経営層と現場の方にCALS/ECの知識を深めてもらい、早期取り組みを提案。また、各種建設関係団体と連携し、団体メンバーのCALSへの対応支援活動(講習会開催、講師派遣、CALSに関する展示会) にも取り組んでいる。さらに、組合員同士による学習会で、電子納品受託や派遣時におけるサービス品質の向上を目指している。
-CALSに関して、鹿児島県内の行政、受注者の動向および熊本県内との違いは何か
 鹿児島は取り組みが遅れているように感じるが、全国的にみるとまだまだ間に合うのではないか。建設業協会内のCALS/EC検討委員会で様々な討議を行い、昨年8月から講習会も実施しており、あとは、いつ行政が本格的に取り組むかという点だけ。
 熊本との違いを比較されると、非常に答えにくい。何故かと言えば、恐らく熊本県が「日本で最も電子納品が進んでいる県」だから。これは私の個人的な意見だが、全国の例を見てもここまで成功した事例は無いのではないか。過去に岐阜県や三重県、長崎県なども推進してきたが、官民ともここまでCALSが根付いているのは熊本県だけだと思う。そのような意味でも熊本と比較すると、どの県も「進みが遅い」と言える。弊社は関東地方でも展開しているが、関東でも意外と進んでいないという実感がある。 
2005.05.23掲載

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