戸田・竹中・吉田組JV
上津浦ダム本体工事作業所所長 水木秀雄氏


 ダムの竣工を感慨深げに見守る上津浦ダム本体工事作業所の水木秀雄所長。平成13年の就任以来、2年半にわたり、2代目所長として上津浦ダムの現場で指揮を執ってきた。ダム建設にあたり地域住民の全面的なバックアップを高く評価する「技術屋」の水木所長。ダム事業に関連した期間中の取り組みを聞いてみた。

 −上津浦川は、ダムサイト下流の晩田地区が熊本ホタルの里百選に指定されるほどの清流。環境面での配慮が難しかったのでは。
 「この川は流量が非常に少なく、ダム建設の工業用水にここの水を使うと下流の生態系に悪影響が出ると判断した。このため工業用水は、運搬船により調達し、下流からパイプラインによりポンプ圧送。さらに汚濁処理施設により再利用した上、浄化して川に流した。掘削等で発生した自然石についても取付河川の護岸や周辺環境整備に使った」

 −立木にも工夫を凝らしたと。
 「仮設備のうち骨材をセメントサイロに納入するための施設に急傾斜ベルトコンベアーを採用し、環境保全の観点から伐採面積を極力減らした。伐採材はチップ化して法面緑化の材料としてリサイクルしている」

 −施工・品質面で上津浦ダムならではの取り組みは。
 「ダム本体の骨材を吟味した。島内には良質な原石山がなかったため、粗骨材を八代・芦北方面から搬入。海砂は長崎県壱岐産を洗浄して使い、ひび割れの原因となるアルカリ骨材反応や海砂の塩害対策について入念に調査した」

 −JVでのプロジェクトについては。
 「各社とも一体化して上手くまとまったと思っている。地元企業には特に助けられた。用地の交渉などがスムーズに進んだのも、地域の協力はもとより、地元企業の成果だと考えている」

 −地域との交流には積極的だったと。
 「海開きのさざ波フェスタ、チャリティーゴルフ、清掃作業等、各種イベントに積極的に参加した。地元小中高、各種団体の見学会も可能な限り開催したほか、地元工業高校から研修生の受け入れも行った。地元で調達可能な労務、資材も活用し交流を深めた」

 −現場の責任者として心労も多かったのでは。
 「自分で地元を回って、意見、要望など生の声を聞いた。現場にも数多く赴き、過積載はないか、道路に石ころが転がっていないか、事故防止対策は万全か−など細心の注意を払った。全工程に接したわけではないが、無事に竣工出来たことを心から喜んでいる」
2004.05.20掲載

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