2021年秋の褒章で黄綬褒章を受章
凰建設会長 川口賢寛氏
現場に出て「判断能力」養う


 熊本県建設業協会の熊本支部長を務めていた9年間に、2度の大規模災害を経験する。2012年7月の九州北部豪雨と16年4月の熊本地震だ。
 熊本地震では、発災直後からライフラインの復旧活動を続けた。ルールに沿った手順を求めてくる行政と衝突したことが何度も。それでも、「応急復旧は通常の工事とは違う。市民の安全安心を守るため一日も早く復旧しなければ」と、自ら被災現場に赴いて復旧方法を思案し、出来ることから取り組んだ。
 100社ほどの会員企業を、作業内容に応じて振り分け、指示を出し続けた。「被災地の写真を見たってわからん。現場で考える動物的勘かな」と振り返る。相次ぐ不調不落には「役所に嫌われるのが長の役目だ」と、発注者に受注環境の改善を求めた。
 昨年7月の国土交通大臣表彰に続く褒章受章は「たまたま災害時に支部長の立場にいたという巡り合わせ。私の号令にみんなが動き、応えてくれたおかげ」と会員に感謝する。
 1980(昭和55)年、33歳の時に有限会社凰建設を設立。以来土木工事や浚渫工事を中心に従事し、インフラと農地の整備に尽力してきた。業界では今、ICT施工といった現場の生産性向上への取り組みが進むとともに、2代目や3代目の若手社長が増えてきた。
 ただ、以前と比べて、現場を見ない∞知らない#ュ注者、設計者、経営者が増えてきていると嘆く。「現場には図面やパソコンでわからないことが沢山ある。経営者は現場に行き、ここが危険だとか、こうしたら一日早く終われるとか判断できる能力を養ってほしい。監督員に教えるためにも」。後に続く若い世代に思いを託す。
 今回の取材で何度も出てきた言葉は「現場」。平時も非常時も、解決する術は全て現場にあるのだろう。熊本市西区沖新町在住、74歳。
2021.11.22掲載

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