平成29年国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受賞した
笠間富雄氏(熊本環境建築事務所 代表取締役)
「自然環境と共生する建物」を設計


 高校3年の夏休みに経験した塗装のアルバイトが人生を決めた。現場に現れ、職人に手際よく指示を出した若い男は、監理業務を担当していた建築士だった。その凛とした姿を見て「こんな仕事もあるのか」と憧れを抱き、急遽、進路を文系から理系へと変更した。
 大学時代から目指していたのが「自然環境と共生する建物」の設計。その夢を一刻でも早く実現しようと、25歳の若さで事務所を設立し、名称にも「環境建築」という言葉を取り入れた。
 手がけた作品では、熊本市営の花園団地建替が印象深い。木造平屋の古い住宅をRC造3階(200戸)に建替えるにあたり熊本市は初の試みとして、熊本大学の研究室と連携し、住民参加型の建替計画を実践した。立場の異なる住民、研究室、設計者の意見や要望が複雑に絡み合い、プロジェクトが難航する中、「調整役に回ろう」と覚悟を決め、設計を集約させた。「完成した建物を見て喜ぶ住民の姿が今も鮮明」と懐かしむ。
所属する熊本県建築士事務所協会では、平成24年から副会長を務める。「人の命を預かる建物をつくるには、幅広い分野の知識や経験が必要」だとして、地方自治体に対し国土交通大臣が定めた業務報酬基準(告示第15号・670号)に準拠した報酬額での契約を要望する。「会員事務所の経営を安定させることが、熊本の将来を担う若手技術者の育成・確保に繋がる」との思いも込める。
 子供の頃から「釣りと音楽」をこよなく愛し、体力づくりの一環として始めたテニスも10年以上続ける。人生のモットーは「今日という日は二度と来ない」。これからも「仕事に趣味に全力投球し、悔いのない一日を過ごしたい」と笑う。熊本市中央区に奥さんと長男夫婦、母、義母の6人暮らし。63歳。
2017.10.26掲載

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