平成28年国土交通大臣表彰(建設事業関係功労)を受賞した
九州開発エンジニヤリング代表取締役 原田卓氏

人材の必要性震災で実感

 「熊本地震で大変な時期。復旧・復興に向けて何が必要か。更なる精進に努めたい」。父親で先代社長の後を受け継いで22年目。これまで幾多の苦難を乗り越えてきたものの、未曾有の災害に遭遇し、受賞を機に地元に根付く建設コンサルタントとしてやるべきことを自身に問う。
 電気通信設備会社の海外事業部に4年間勤めたこともある。その間、タイで通信土木のプロジェクトにも携わった。当時のタイは、政情が不安定だったため治安が悪く、衛生面も課題ばかり。この経験が日本の良さを見直す切っ掛けになっただけではなく素晴らしい熊本を深く感じたという。
 「施工がメインの会社だったので、この業界とはやり方がまったく違っていた。我が社に勤務してからは丸1年間、社内で技術をメインとする各分野の業務に就いたことで、業界を理解することが出来て良かったと思っている。実際、暑い夏の現場に行ったり、施工とは違う厳しい面がある」。
 熊本県測量設計コンサルタンツ協会で副会長を務める。課題となっているのが業界の担い手不足。技術者の高齢化が進む一方で、若い人材の入職がなく、現場対応にも支障を来している。「今回の震災が5年後だったなら、現地入りする人材が(高齢化で)足らず復興支援が出来たか疑問。震災で実感した」と危機感を露わにする。
 「我々の業界も含め地元に建設関連業は是非とも必要。日本は地震、台風、豪雨、火山の噴火などあらゆる災害が頻繁に起こっている。常日頃から公共事業費を確保し、地方の建設関連業者を育成しないと災害やその後の復興に対応できない」。公共事業費の減少が地元企業の衰退につながっている現状を鑑み、経営安定を図るためのインフラ整備の必要性を訴える。
 忙しい合間を縫って楽しんでいるのが推理小説。好きな作家にミステリーの女王・アガサクリスティーをあげる。最近ハマッているのが宮部みゆきだそうで「表現が細かく、ユーモアがある」ところが特に気に入っている。「家の小さな畑で採れたキューリ、ピーマン、ゴーヤは格別。もちろん作るのは家内で、私は食べるだけ」。無農薬で新鮮な作物が元気の源だろう。
 熊本市に妻、息子と3人暮らし。昭和31年生まれ。60歳。
2016.8.18掲載

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