国土交通省熊本港湾・空港整備事務所長に就任した
  野澤 良一氏
「迷った時は前に進むこと」


 この4月、港湾局計画課からこの地に赴いた。学生時代、地元福島県で実習したのが小名浜港湾事務所(いわき市)。これが縁で旧運輸省に就職し、今日まで港湾畑を渡り歩いてきた。「港湾工学の面白さは何といっても波とか、流れを相手にすること」。難しいことに粘り強く向き合う姿勢は、如何にも東北人らしい。
 沖縄総合事務局には2度、席をおいた。現在でも賛否両論が飛び交う『泡瀬埋立』のプロジェクトでは、開発と環境の板挟みで、辛い思いも体験した。「事業者としては丁寧に説明したが、解決には至らなかった」と今でも成り行きを見守っている。
 コンテナ船の誘致も手がけたことがある。いわき市のみなと課への出向時で、平成9〜10年頃。バブル崩壊後のちょうど今のような、経済に閉塞感が漂っていた時だ。コンテナ船の就航に向け企業訪問、いわゆる荷主まわり≠ナ利用を要請する一方で、船会社と折衝してビジネスに導いた。
 「景気が悪いからこそコストにシビアになる。例えば製造業だと景気が良い時は貨物を早めに出して製品化するため納期が厳しい。逆に景気が悪い時は、納期は緩いんだがコストは下げる。コンテナ船がその役を担った」。このポートセールスにより平成10年にはコンテナ船が就航したという。
 迷った時は、慮(おもんぱか)るより、前に進むことを信念とする。読書が好きで最近、読み終えたのが塩野七生著『ローマ人の物語』。「帝国の盛衰に必然を感じる。リーダーに対する細かな描写も読み応えがある」。同書は1992年に1作目を刊行後、2006年まで全15作の超大作。忙しい中、読破するその粘り強さは半端ではない。
 横浜市に妻子3人を置いて単身赴任。熊本市で暮らす。昭和33年生まれ。 
2009.05.18掲載

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