平成20年度「現代の名工」に選ばれた
(株)十二工務店専務取締役  小細工武義氏
「安全で効率よく、いいものを」


 「今回、このような賞を頂く機会に恵まれたことが一番嬉しいです」。新聞などで報道されたことで、お世話になった人や同級生から多くの励ましの言葉をもらった。「今まで長く続けてきたことが、このような結果につながったのかも」と改めて喜びを実感する。
 昭和28年から約10年間、家具、建具大工職人として技能を磨いた。当時は、東京オリンピックや万博などを契機に、ビル建設が脚光を浴びた。現在の会社の先代(義兄)の勧めもあって、昭和38年から型枠工の仕事に転身した。
 当初は、家具と違って材料が大きく、取り扱いに苦労したが「基本的には家具も型枠も大工。型枠作業の下ごしらえをする段階で、家具の技術が大変、役に立った」と振り返る。
 思い出に残っている現場は、曲面の多い素地打ち放し型枠組立≠用いた熊本県立劇場。
 「型枠を組んでコンクリートを流し、型枠を取り外した後に直接仕上げを施さないのがこの工法。打ち放しのコンクリートがそのまま仕上げとなるので、型枠の出来具合が仕上がり状態を大きく左右した」。
   今でもコンサートに行った時は、演奏が始まる前に当時のことを思い浮かべ、いつまでも感慨深く壁や客席を眺めているという。
 安全で効率よく、高品質な型枠を組上げることができないかを常に考え、仕事に取り組んできた。昭和57年の第三合同庁舎建設工事では、床版を支える支保工(サポート)が版下作業を阻害していることに着目。床版受け治具を考案し、軽量床版受型枠を自主製作して作業の効率化・型枠工期短縮を実現させた。
 また、昭和60年の電通熊本ビルの外壁タイル打ち込み型枠工事では、大通りに面し十分な作業足場が組めず、コンクリート打ち込み後の硬化作業前の頂部調整作業が困難だった。このため、修正緊結金物を考案し、硬化前建物内に入らず、外部足場からの通り調整を可能にした。
 現在、床版型枠組み立て作業では、その技能が基礎となり商品化され、幅広く同業他社でも使用されている。「発案者として、全国の現場で使って頂けることはありがたいこと。型枠作業の効率化と品質向上に少しは貢献できたかな」と控えめに語る。
 趣味は、カメラ、ビデオ撮影、家庭菜園など。昭和12年生まれ。71歳。
2008.11.24掲載

戻る

  All right reserved for west japan construction news Co.,Ltd    renewed on 2004/4/8 Y.アクセス昨日 T.アクセス本日