平成19年春の褒章で黄綬褒章を受章した
(株)福山空間建設研究所 取締役会長  福山昭典氏
木造建築の良さを次世代に伝えたい



福山昭典氏 「日本古来の木造建築の良さを次代に伝えたい一心でここまでやってきた」。建築に携わって半世紀以上。誰もが認める高い技術力と、技能者育成に寄与した功績に社会が応えた。
 昭和21年、大工見習いとして働く。カンナで切り出した木片が透けるような薄さになるまで修行し、、体にたたき込んだ。
 親方との約束でもあった4年間を終え、22歳で独立。住宅の屋根がわら葺きから瓦葺きへと移行する時代で、多くの葺き替えに従事する。1件1件屋根の構造や組立方法が違うため、屋根を全て取り払ったあとに図面をおこすなど、家造りの基本をここで習得した。「新人だから仕事は教えてもらえない。誰もいない早朝に先輩が手掛けたところを見て技を盗んだ」。
 平成7年には、八千代座管理資料館の復元に携わり、屋根や梁、柱等を分析し、当時の手法を忠実になぞった。「元の姿のまま再現したかった。昔の工法を調べながらの施工で完成までに約1年かかったが、満足できるものができた」。
 妥協を許さない姿勢を高く評価され、宮大工ではないにもかかわらず、神社や仏閣、文化財の修復再生に多数携わった。
 次世代を担う建築大工の育成にも力を注いだ。職業訓練校の生徒に対し、現場で職人らと技を教授。「技術は体に覚え込ませるもの。目を閉じていても腕が動くようになりなさい」と激励し続けた。
 木造へのこだわりは特に強く、建築士会山鹿支部長と建築組合副会長を兼任している時、木造建築士の合格率を上げようと講習会を実施し、1年で80人近い合格者を出した。
 78歳になる今も現役で、図面作成や大型トラックでの木材搬送などを手伝っている。合間を見つけては神社やお寺に参詣するのが楽しみだという。昭和3年生まれ。山鹿市山鹿在住。
2007.5.17掲載

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