国土交通省立野ダム工事事務所長に就任した
                       井原 邦明氏


 このほど開かれた白川流域住民委員会で立野ダム建設事業が再評価を受け『継続が妥当』と結論づけられた。「費用対効果で絶大な支持を頂いた。政令指定都市を睨む県都が安全であるためには立野ダムが担う役割は大きい」。委員会結論を歓迎しながらも責任の重さを自覚する。

 国土交通省は、平成14年7月に策定した白川水系河川整備計画で、当面の整備目標として高水流量を毎秒2,300tに設定。このうち300tを立野ダムでカットする計画を打ち出した。これは約30年間の目標値。立野ダムは工事着手後、今年で20年目を迎えており、10年後にはダム本体完成を目指すという。

 立野ダム建設事業の残事業率(15年3月末現在)は、ダム関連道路26%、付替鉄道31%、用地買収36%。仮排水路、ダム本体への着工につながる付帯事業の完了も大詰めを迎えている。現在、保安林解除の手続き中で、解除を取りつけ工事用道路の進ちょく、仮排水路の着工へつなげる見通しだ。

 「立野ダムは治水だけを目的とした全国でも珍しいダム。世界一のカルデラ阿蘇山を背景に国立公園内でのダム事業という困難な材料もあるが、住民との対話を深めながら本体着工に漕ぎ着けたい」と対話を重視する姿勢は一貫している。

 こうした姿勢はこれまでにも多くの成果を収めており、雲仙普賢岳の復興事業もその一つ。初代砂防課長として事業に携わり、オープンな取り組みで事業への賛同を得た。「説明会じゃなくて勉強会として多くの住民に接することが出来た。対話を重ねることで問題点も浮上し、最終的には我々プロ集団の意見が理解してもらえる」。度重なる勉強会に業を煮やしたマスコミも味方につけた。

 熊本の赴任は2回目。現熊本河川道路事務所に調査計画係長として身を置いた。歴史が好きで〃誠実・勤勉〃な人柄は周りの人を優しくさせた。週末は長崎県の実家に帰り、ガーデニングで汗をかく。小型重機を購入するほど本格的で「機械の操作は現場の安全管理にとても勉強になる」。プライベートでも自分の立場を忘れない。

 昭和22年生まれ。熊本市下南部の官舎に単身赴任し、優しい熊本を満喫する。

2003.06.26掲載

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