A港は競争の時代、八代港の施設整備と攻めのポートセールスが急務    平成17年2月24日新聞掲載
−八代港は大きな役割を果たす大規模装置
 これまでに述べた八代港の優位性をまとめると以下のようになる。

 @九州の地理的中心に位置するため、特に陸送コストの削減効果が大きく企業や消費者への低廉な物資供給が可能である。

 A製品や資材等の搬送・搬入を行う企業集積が高く、広範かつ大量搬送を行う流通ルートを立し易い条件にある。

 このような八代港の強みは、前述した企業の進出決断や貿易活動の占有状態とともに、世界各地との貿易を展開・開始する民間ベースの先駆的判断が強く物語っている。流通量の確保が熊本県経済の浮揚の鍵であり、八代港が最もインパクトの大きい役割を発揮する大規模装置である証しでもある。

 反面、八代港を大規模装置として活かすためには、以下に掲げる2つの課題に対応した行政サイドの積極的な対応と支援が不可欠であることを提言したい。
−大規模装置として活かす2つの提言
 ◆1点目は大型岸壁の整備である。八代港で最も大きな外国貿易ターミナルは3万トン級対応であるが、利用する外国貿易船の6割以上は3万トンを越えており、7万トンを越える超大型船の利用も珍しくない。このため、満載での入港が出来ず、県外他港での船舶への積み替えや荷降ろしなどの不合理な実態による流通コストの増大などによって、結果的には八代港が受け持つべき貨物を他県に奪われることによる経済活動の損失が生じている。大型岸壁を整備することによって、このような損失を取り戻すことが急務である。当然であるが、新たな技術導入や、既存施設のリニューアルなどによる建設コストの削減努力も行うべきである。

 ◆2点目は新規航路の開設である。急速な経済発展を継続する中国などを筆頭とした東南アジア諸国との貿易については、全国的な市場開拓の象徴として民間・行政レベルに限らない広範で積極的な対応がなされているところである。八代港の場合、立地企業の関係から中国や東南アジアへ出荷する加工製品が定時・定量的に存在するなど、定期コンテナ航路を誘致する際の優位な折衝条件が整っている。また、八代地域で産出される付加価値の高い農生産品の輸出転換なども魅力だ。すでに他県での成功事例も報告されているが、これについては、筆者の立場を含め十分な検討を行っていないことから紹介だけの掲載として認識いただきたい。
−広範で最大の効果を発現する施策の選択と集中的展開を
 最後になるが、厳しい財政事情の時期を迎えていることは、熊本県に限らない深刻な状況である。そのうえで、財政の健全化と景気浮揚などを促す行政施策を設定・展開しなけらばならない非常に困難な課題を抱えているのも事実である。

 しかしながら、これらの課題を乗り切るためには、各施策の本質的な貢献度を見極めたうえで、広範かつ最大の効果を発現する施策の選択と集中的な遂行が必要であることは論を待たないところである。八代港の整備による経済波及効果や雇用の創出、熊本県財政への新たな収入などの効果は他の施策に負けない側面を有していると認識している。筆者を含め、大規模装置である八代港を活かさなければならない行政の責任は重大であると認識し、今後の業務遂行の糧としたい。(おわり)






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