平成18年5月22日新聞掲載
 九州新幹線の全線開業が残り5年と迫り、博多―新八代間では工事が急ピッチとなってきた。熊本県内でも平野部を縦断する高架橋が次々と姿を現し、レールが敷かれる時を待っている。
 今年2月に県と玉名市で結ばれた「新玉名(仮称)駅周辺地域等整備基本計画」の協定は、同駅周辺の整備手法を具体的に示すものとしてその内容に注目が集まった。
 概算総事業費が約423億円のビッグプロジェクト。整備による経済効果は大きく、また、完成後は県北の玄関口として県内の経済、観光等に様々な効果をもたらすものと期待される。
 整備基本計画の概要や今後のスケジュールを紹介する。
熊本県と玉名市が協定締結
 基本計画では全線開業する平成22年末と、開業後早期とする平成30年末の2段階に分け、事業スケジュールを打ち出した。事業は@新玉名駅周辺整備等A道路・交通網の整備―の2事業に分類し、駅周辺整備に事業費39億円、道路整備に事業費384億円を投入する。
 新玉名駅周辺整備等の計画区域は7・2fで、このうち新駅を中心とする4fを対象に開業までに必要な駅前広場や駐車場、アプローチ道路、観光交流センターを整備。その後、3・2fについて広域交流施設等の整備を図る。
【新玉名駅周辺整備等〜駅前広場〜】
 玉名市が事業主体となる駅前広場整備は、北口約5900平方b、南口約2万6200平方b―計3万2100平方bが対象。道路計画では、県道玉名立花線から南口および北口駅前広場への動線としてアプローチ道路(北口アプローチL175b・W11b、南口アプローチL145b・W20b)を計画している。
 バス、タクシー、一般車などの発着地となる交通広場は、南口をメイン、北口をサブとして玉名市街地と和水町の両方面から乗降できるよう設定。およそ1万700平方b(シンボル緑地を含む)を確保する。
 駐車場は約300台分を設け、修景広場、交流広場、多目的広場などの公園は合計約8200平方bを整備する。
 南口駅前広場内に建設する観光交流センターは延べ床面積約300平方bの施設。観光客への情報提供や物産販売の拠点となる。施設構成は、平成30年末までに南口駅前広場の南側隣接地に計画している広域交流施設との兼ね合いがあるが、今のところ観光情報コーナーのほか、軽飲食コーナー、休憩所などの設置を示している。
 このほか、関連事業として、上水道整備L約740b、下水道整備L約1140b、水路付け替え等L約400bの基盤整備も実施する。

【道路・交通網の整備〜周辺道路整備計画〜】
 新玉名駅は、在来線と接続していない単独駅で、既成市街地から離れた場所に建設されるため、周辺地域の連携する道路網の整備が重要な課題となっている。
 しかし、全線の整備には長い期間を費やすため、事業費や整備効果等を勘案し@新幹線開業時までに完了する道路A開業後の早い時期(概ね平成30年頃)までに完了する道路B長期的に整備する道路―の3つに区分けし整備することとした。
 新玉名駅と各方面を結ぶ主要アクセスと位置付けているのが、国道208号玉名バイパスと主要地方道玉名立花線。
 玉名バイパスは、国の直轄事業で昭和49年から整備中。玉名市寺田(起点)―岱明町開田(終点)の全長8・5`(幅員25b)のうち、玉名停車場立願寺線交差点―玉名山鹿線交差点間の約2300bが暫定2車線で供用している。今計画では、起点から玉名山鹿線までの約2000bを平成19年度までに暫定2車線で整備することとした。
 玉名立花線は、既成市街地から玉名バイパスと交差し、新駅のすぐ東側を通って菊水ICや山鹿・玉名方面へアクセスする県道(玉杵名大橋以南は玉名山鹿線との重用区間)。玉名バイパス―玉杵名大橋付近間の約2・2`(幅員15b)を開業時までに整備。玉名バイパス以南は、30年度ごろを目途に完成させる考え。事業主体は県。
 新駅周辺地域開発の骨格となるのが東西道路(仮称)。このうち、県道玉名八女線と新駅(南口アプローチ道路)を結ぶ約0・9`は、県が事業主体となって開業時までに整備する。玉名山鹿線と連絡する道路約0・6`は、一部新幹線側道を活用し、市が開業後の早い時期に完成させる方針。いずれも具体化はこれから。
 このほか、新駅へアクセスする道路網を構築するため、以下のような都市計画道路等を市が計画している。@立願寺南岩原線(玉名駅立願寺線―立願寺横町線間)L0・58`、W16b。18年度までA立願寺横町線(立願寺南岩原線―県道玉名八女線)L0・33`、W16b。17年度までB立願寺横町線(県道玉名八女線―国道208号)L1`、W16b。22年度までC東西道路(仮称)から立願寺横町線までのアプローチ道路(東西道路―玉名BP―立願寺横町線)検討中D玉名駅平嶋線(築地立願寺線―玉名BP)L0・4`、W16b。19―22年度E同(国道208号―築地立願寺線)L1`、W16b。22―27年度F築地河崎線(国道208号―玉名駅平嶋線)L0・5`、W20b。20―23年度G岱明玉名線(県道長洲玉名線―国道208号)L1・1`、W22b。22年度まで。 



協定書に調印する潮谷知事(左)と島津市長

駅前広場基本レイアウト


駅周辺の将来像イメージ


一部供用開始している国道208号玉名バイパス。
新玉名駅は写真左方向に建設される
インタビュー:島津勇典・玉名市長
 5年後の新幹線開業を見据え、事業内容を明確にした整備基本計画。玉名市の島津勇典市長に市の役割や意気込みを聞いた。


――5年後の開業に向けていよいよ新玉名駅とその周辺整備が動き始めますが、意気込みを
 良くも悪くも今後の玉名の将来を決めるものと認識している。県北の玄関口として責任も重く、積極的に市の役割を果たしていく。
――市の役割とは
 今回の県市協定で最も重要と考えるのが、アクセス道路の整備。特に、現在整備が進む国道208号玉名バイパスは、新駅前に横たわり、このバイパスを効率的に機能させることが今後の発展の鍵となる。事業主体は国だが、玉名市としては積極的に整備加速を働きかけ、5年後の開業に間に合うよう協力していく姿勢で臨みたい。
 一方、菊水IC、山鹿、菊池などに向けたアクセスも大切だ。新玉名駅の本当の意味での成功は、近隣地域に向けた起点に成り得るかにあり、そのためには、少なくとも各方面へ向かうバスの拠点としても検討していかなければならない。
――乗降客の足を止めるような施策はありますか
 玉名地域は菊池川流域に位置し、温泉なども多々ある。しかし、他県の人から見る玉名は"どのようなまちなのかイメージが浮かんでこない"というのが現状。足を止めるような施策を見いだすことは今後の大きな課題で、近隣地域とも連携し玉名の魅力を引き出していきたい。
 ただ、これには行政だけでなく、観光協会や、商工会議所など様々なレベルからの意見も必要だ。
――開業すれば福岡まで30分という通勤圏内には好条件の場所となるが、定住促進という意味では
 今年度に県市共同アンケート調査を実施する。まず、福岡都市圏の住民を中心に「玉名を居住地としたいか」「居住地とするならば、どのような期待も持つか」―などを聞き取ることにしている。意見を集計し今後の参考にしたい。

[目次]