第3回 まずは複数の人材育成                         平成17年2月21日新聞掲載

田中俊顕(たなか・としあき)氏

【略歴】平成2年国土交通省入省。7年に始まった建設CALS/ECを担当、電子入札システムの開発時期に特別会員として公共調達コンソーシアムに参加、その後CADデータの国際的な交換を行うためCAD標準コンソーシアムにも参加、また、関東地方整備局技術管理課にて当時国土交通省が実施していた実証実験等においての電子検査や電子納品を行う。平成13年に辞職後、CALS/ECエキスパートとして自治体への導入支援や各事業団体への支援を行う。
=納品代行料は請け負い額の概ね2%=
-納品がスムーズに出来るために重要なことは何か
 人材の育成に限る。ソフトウエアやパソコンが納品を全部やってくれると考えている人がまだ多い。ソフトは作成への支援はしてくれるが、納品物を作成してくれるわけではない。
 また社内で1人がわかっていてもダメ。複数の現場で工期が重なったときに、かけもちして納品が出来るほど簡単なものではない。複数の人材を育成することが重要。

-機器の導入に多額の費用がかかるという話も聞くが
 納品に関する様々な情報が錯綜し、数百万円もかかるといった間違った情報も出回っている。まずは講習を受けて、正しい情報・知識を得て、的確に判断できる力を養ってほしい。自社にあったソフトウエアやパソコンはそれから考えればいいことだ。

-納品代行もあるが長所、短所は
 代行の良さは、「時間」と「社員」を使わずに出来るということ。大抵、現場代理人が抱える現場は年1〜2件程度で、納品を熟知するには年数がかかる。代行業者は、その道のプロであり、従業員を使わずにしかも短期間で完璧な納品ができる。納品レベルや打ち合わせの回数などにもよるが、全国建産連の試算では請負金額の2%位の代行料金がかかると試算されている。当然、全ての工事で全ての部分を代行していたのではコストもかかるし、納品が出来る人材も育たない。
 自社でできる部分は自社でして、時間も人もかかるところを代行するなど、臨機応変に対応するのが賢明なやり方ではないだろうか。


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=電子入札について=
-熊本市と県が17年度から一部運用開始するが、受注者が対応すべき課題は
 電子入札の仕組みを各企業がきちんと勉強し、トラブルが起きたときにどう対処すればいいのかを経営者の方が知っておく必要がある。
 注意すべき点と言えばパスワードと入札金額を間違えずに入力することぐらい。電子納品と同様に、間違った情報もあるので、正しい知識を得てから環境を整えて欲しい。

-複数のICカード、パソコン、担当者を用意しておく必要は
 鹿児島県内のゼネコンの話では、既存のパソコンに電子入札ソフトを導入し、カード1枚で対応しているそうだ。入力作業は事務員でも出来るので、複数の営業担当者がパソコンの前に待機しておく必要もない。
 複数、用意するか否かは、電子入札がはじまってから状況をみて対応しても可能だと思われる。

-メールが届かないとか送受信時のトラブルは
 国交省は全案件電子入札だが、入札参加申請書や入札書の提出など受注者の入札作業に関しての重大なトラブルは発生していない。確かに当初はトラブルもあったが、今はソフトが向上し、再入札までの時間を長く設けるなど制度的にも改善されている。
 また、国交省は最近、LDAP(エルダップ)を使用しているので、送受信のトラブルも解消されている。熊本市・県も国交省と同じコアシステムなので十分に対応されるはず。当然、パソコンやハブの電源が落ちてインターネットが使えないなど環境上のトラブルは考えられるが、紙入札も可能だ。きちんとした情報を入手して対応すればそれほど大変なものではない。

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