第1回 「下請けだから無関係」は通用しない              平成17年2月14日新聞掲載

田中俊顕(たなか・としあき)氏

【略歴】平成2年国土交通省入省。7年に始まった建設CALS/ECを担当、電子入札システムの開発時期に特別会員として公共調達コンソーシアムに参加、その後CADデータの国際的な交換を行うためCAD標準コンソーシアムにも参加、また、関東地方整備局技術管理課にて当時国土交通省が実施していた実証実験等においての電子検査や電子納品を行う。平成13年に辞職後、CALS/ECエキスパートとして自治体への導入支援や各事業団体への支援を行う。
 CALS/ECの動きが本格化している。電子納品については、熊本県が4月から目標レベルを『2』に引き上げ、電子入札については、熊本市が4月、熊本県が10月からの一部運用開始を予定しており、未対応の受注者にとって早急な対応が求められている。平成15年から熊本県内の行政・業界団体に対し、これら研修の講師として携わっているCALS/ECエキスパートの田中俊顕氏に、県内受発注者の取組状況や課題・要望などを聞いた。

=電子納品について=

-熊本県内での講習実績は
 (社)熊本県建設業協会をはじめ、(財)熊本県建設技術センター、商工会・商工会議所、雇用促進事業団ポリテクセンター、熊本市職業訓練センター等で受発注者を対象に講習を行ってきた。

-講習内容は何を
 電子納品基準に沿ったかたちで、基礎知識、CAD研修、デジタル写真管理研修、電子納品支援研修、PDF作成研修、データCD作成、セキュリティ(ウィルス)対策研修などを。
 「だれもが理解できる内容で県内建設業者の底上げを図って欲しい」という熊本建設業協会からの要請があり平成15年度は各支部で実施。また、16年度には熊本県から「統一した内容・基準での教育を行って欲しい」との要請があり、基準を重点的にしたCALS/EC@A研修と、実際の電子納品作成を行うCALS/ECB研修として行った。初心者にもわかりやすくカリキュラムを組んでいるので、電子納品への理解度が高い人にとっては物足りなかったかも知れないですね。

-受注者の電子納品への理解度は
 2年前に研修を始めた頃は「電子納品とは何なのか?」といういわゆる概論的な質問が多かったが、最近では、納品データ作成時の詳細な質問が多い。受講者に限って言えばかなり技術があがっている。言い換えれば、講習会への参加の有無によって業者間に技術力の差がかなり生まれてきているのは事実だろう。

-どうして技術力に差が出てくるのか
 県がすでに電子納品をはじめていることもあり、県工事に携わる業者はかなり危機感が強い。逆に市町村工事のみを受注する業者にとっては、まだ実感が無いのか「どうせ元請けはしないから」「我が町の工事をするうえで関係ない」「市町村がはじまってから対応すればいい」と考える人が依然多い。市町村担当者の意識が高まれば、地域の業者に周知できると思われる。

-下請けにも電子納品が求められるのでは
 実際あった話ですが…、元請けが下請けにデジタル写真での納品を依頼したが、「写真がピンボケ」、「ファイル名がデジカメのファイル名のまま」、「縦横が逆」−と言う事例も実際、熊本県に報告されている。
 発注者が元請けに電子納品を指示すれば当然、下請けにも同様の作業が求められるので、下請けは「発注者から指摘を受けるのは元請」と言うことを認識して、元請に迷惑がかからないような対応を行う必要がある。

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