公共工事減・・・、余剰人員の雇用安定へ               平成22年10月14日新聞掲載

 上益城郡山都町の建設業者2社が雇用安定と環境保全を目的に農業に参入した。矢部開発梶i上田幸徳代表取締役)は、自ら発起人となって農業生産法人合資会社「あぐりの里」を立ち上げ、椎茸栽培に参入。牛。村建設(今村 貢代表取締役)は、ピーマン・パプリカの栽培で事業展開する「リーフレットファーム」を起業し、建設業と農業の兼業体制を整えている。

矢部開発(株)の椎茸栽培 合資会社「あぐりの里」
 農業に参入した一番の理由は、雇用の安定。退職者の再雇用に加え、公共工事削減による余剰人員を椎茸栽培にあてようと考えた。農業生産法人の認可を受けて補助事業で農業進出を試み、申請から認可までに3年の期間を費やした。
 作業には、農業従事者、地域住民や矢部開発の社員ら16人があたる。農業を会社組織で運営した場合、家族経営と違い、労働賃金から残業手当までシビアな計算が必要になる。そのため広大な施設でスケールメリットのある経営が重要だ。
 菌床栽培の場合、一個の重量が2`程度で、原木栽培に比べると高齢者の負担が少なく収穫量も安定するなどのメリットがある。また、傷みが遅く生産ロスも減らせる。
 収穫は、ハウス11棟(1700平方b)で年間100d。菌床(おがくず)に椎茸菌を接種して3カ月で出荷できる。取引先は県内を中心に福岡・大分方面。今期は、夏場の単価安と冷房代が冬の利益を奪い、減収の要因となった。徹底したコスト管理が収益の鍵となる。
 上田公成代表社員は「夏に収益性の高い農産物を収穫し、安定した利益を得る。熊本産ブランドで中国市場に高品質の椎茸を売り込む流通体制を確立して、事業拡大に繋げたい」と話している。

椎茸栽培:矢部開発(株)

菌床栽培の施設内
合資会社「あぐりの里」

(有)今村建設のピーマン、パプリカ栽培 「リーフレットファーム」
 退職者の再雇用と、公共工事の減少で雇った職人を辞めさせることに責任を感じ、農業分野で雇用の安定が図れないかと考えた。
 ピーマンは、5月の連休明けから植え付けに入り、10月末頃まで収穫できる。栽培では、特に今年のような猛暑が続き降水量が少ないと管理が難しい。作業には3人が当たり、露地(60e)にピーマンを植え、今年からはハウス(12e)でもパプリカの栽培を始めた。栽培方法はアミノ酸栽培法を取り入れ、無農薬で質の高い品物の安定供給ができる体制まで整えていく。
 経営で難しい点は、不安定な市場価格。手を加え品質の良い作物が出来ても、金額に上乗せできない。価格のみで競う安値競争社会が続く以上、高品質の商品価値が判る業者との取引が成長の鍵をにぎる。
 今村社長は農業参入への思いについて「都会だけが生活する場所ではない。昔のように元気のある町を取り戻したい。そのためには雇用の安定が必要」と心境を話した後「関東、関西方面をターゲットに情報発信し、安定供給、安定価格で取引ができる契約出荷先の開拓を進めていく」と意気込む。

ピーマン、パプリカ栽培:(有)今村建設
ピーマン栽培を説明する今村貢社長
「リーフレットファーム」

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