総事業費約620億円、10年内に供用へ                       平成19年10月25日新聞掲載
 最初の決起大会から20年あまり。九州横断自動車道延岡線「嘉島−山都間」約23`がいよいよ本線工事に着手する。地域間格差が拡大し、格差是正が全国的な問題となっている中、地域活性化の観点から幹線道路の整備は極めて重要。特に過疎化や少子高齢化が進む地域にとっての道路整備は、起死回生、特効薬的なインフラ整備とも言える。また、将来の道州制を睨んだ時、九州の中央部を東西に横断するこの道路が熊本に果たすべき役割は極めて大きい。嘉島−山都間の1日も早い供用と、延岡線全線での着工が待たれる。
 延岡線は、所要時間の短縮はもちろんのこと、九州縦貫自動車道や東九州自動車道との相互ネットワークを活かし、九州全体を巻き込んだ経済・産業・文化の発展など、多岐にわたる整備効果が期待されている。
 嘉島山都間の総延長はは約23`で、起点に嘉島JCT、終点に矢部IC(いずれも仮称)を設置する。一般道路部が約18`、トンネル部が6カ所で約3`、橋梁部が17橋で約2`。概ね10年以内の供用を目指し、総事業費は概算で620億円。
 本線部道路は、構造物を除いた道路延長約18`を4区間に分けて設計。現在までに、嘉島JCT付近―山都町北中島(約8`)の詳細設計を終えており、残りの山都町北中島―矢部IC付近(約10`)を現在詳細設中。
 本線部構造物のうち、IC・JCTを計画しているのは、今のところ起点側の嘉島JCT(益城町島田)と終点側の矢部IC(山都町城平)のみ。いずれも設計には着手しておらず、規模等は未定。
 トンネルは、全て設計済み。現在、西日本高速道路の発注で、大林組が大平トンネル(約436b)と河内トンネル(約141b)の施工を担当。大平トンネルの施工が終わり次第、河内トンネルに着手する。残り4トンネルは今後、熊本河川国道事務所が工事を発注する。 【地図参照】
 橋梁は、八丁第二橋と御船川橋を除いて全て詳細設計済み。着工式があった千滝川橋の橋長(211・5b)は、太田川橋と八勢川橋に次ぐ。大野川橋(99・8b)も千滝川橋の着工に併せ、下部工工事(橋脚1基、橋台1基のみ)に着手する。
 その他、本線部に付随する構造物として、本線部を市道、里道が跨ぐ跨道橋を今のところ11橋建設予定。また、本線部区間内の14カ所で災害対策施設として、本線部を横断する管渠・函渠や本線部付近の沢部などで土砂災害を防ぐために流路工などを施工する。
 今後の整備方針として▼用地=来年度以降も引き続き促進▼設計=来年度以降、道路施設(非常電話、トンネル警報表示板や道路情報板など)に着手▼調査=トンネル整備による地下水への影響がないか水文調査を実施▼工事用道路(全11カ所)=未発注の3カ所のうち、2カ所は11月の入札待ち。残り1カ所は、本線部工事と一体化するか、個別発注するか検討中▼本線部工事=用地買収が済み次第、随時着工する―としている。

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−interview−
七條牧生・熊本河川国道事務所長

――延岡線全線の整備目的・整備効果は
 九州横断自動車道延岡線は、九州中部を横断し、九州縦貫道及び東九州道と一体的に機能する自動車専用道路であり、地域の連携と広域交流の促進により、物流の効率化や観光の振興など、熊本・宮崎両県のみならず、九州全域の発展に大きく寄与することが期待されているところです。

――嘉島山都間ではどのような効果が期待されるか
 延岡線(嘉島―山都間)沿線地域では、本年7月の豪雨で国道218号、445号が被災し、地域間を結ぶ交通が寸断されたことは記憶に新しいところですが、当道路の整備は緊急時における物資の輸送や緊急車両の交通確保に寄与します。
 また、中山間地域においては、慢性的な医師不足に加え、合併等によって広域化する医療活動により「緊急時に救急車不在」といった状況も発生しており、地域住民が安心して生活を送るうえで、緊急医療体制の確保は早急に解決すべき切実な問題となっています。当道路の整備は、熊本市内にある高次医療施設までの迅速かつ確実な搬送の実現に寄与するものであり、暮らしの安全・安心の確保に大きな期待が寄せられているところです。
 また、当地域は、良質で豊富な農畜産物をはじめ、通潤橋などの石橋文化や水源など多くの地域資源に恵まれています。観光という視点では1日行動圏の拡大効果により、阿蘇や高千穂などと連携した新たな観光ルートの創出などの効果が期待されます。更に農産業においては、市場拡大・需要創出や高付加価値型商品の安定的で確実な輸送など、更なる振興に寄与することが考えられます。
 全国的に過疎化、高齢化が進展するなか、また都市と地方の地域格差が広がるなかで、本道路の整備は、地域の資源や個性を活かした『地場産業の活性化』、魅力ある地域づくりによる『交流人口の拡大』、安心・安全な地域づくりによる『定住人口の確保』、九州の中心に位置する地理的特性を活かした『新たな雇用の場の創出』など、地域の活力を維持していくための取り組みを強く後押しするものと考えています。

――地形上および施工上の特徴を
 非常に急峻な地形を通過することから、トンネル6カ所(約3`)、橋梁17橋(約2`)を計画しており、構造物比率は約20%となっている。特に嘉島JCT(仮称)から国道445号までの区間約12`は構造物比率が約30%と高い。
 施工にあたっては、既存の道路も十分に無いため、事業の全面展開を図るうえで工事用道路の確保が重要となる。全区間で11カ所の工事用道路を計画しているが、このうち8カ所は発注済み。残る3カ所についても、地元のご了解を得て、早期の発注を進めていきたい。

――現在の進捗状況、整備完了予定年度は
 9月末現在の用地取得率は面積ベースで20%。19年度末の事業進捗率は事業費ベースで17%を見込んでいる。地元の協力を得ながら概ね10年の間に完成できるよう事業を進めています。

――施工業者等に対して何か
 当道路の整備にあたっては、地域の方々によってこれまで育まれてきた歴史・文化や豊かな自然を有する沿線市町の地域性を来訪者の方々に感じて頂ける、また地域の方々から愛着を持って頂けるような「道」づくりを進めて参りたいと考えています。施工業者の皆様にはそういった意識を共有して頂き、良い道づくりのパートナーとしてそれを実現するための技術提案や現場での工夫などについて、積極的な取り組みを期待しています。
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着工式 200人参加し盛大に祝う
 着工式が20日、上益城郡山都町の浜町体育館で開かれた。国土交通省や国会議員、山都町議会議員、建設促進期成会員、地元対策協議会員などのほか、工事関係者、山都町民ら200人が出席し着工を盛大に祝った。
 初めに、地元山都町の清和文楽人形芝居保存会のメンバーによる芝居があった後、国土交通省熊本河川国道事務所の七條牧生所長が式辞を述べた。
 来賓からは、園田博之衆議院議員、林田彪衆議院議員、木村仁参議院議員、潮谷義子熊本県知事(金澤副知事代読)、村上寅美熊本県議会議長、甲斐利幸九州横断自動車道延岡線建設促進期成会会長、菊川滋国土交通省大臣官房審議官があいさつ。20年前の決起大会から整備計画策定、新直轄事業への移行−など、着工までの歩みを感慨深く振り返るとともに、早期供用に向けた祝辞が述べられた。
 また、道路特定財源の一般財源化と平成19年度末に期限切れとなる暫定税率に触れ、「期限が切れれば道路財源が半分になり、進ちょくに影響を与えかねない。延岡線のような利便性の高い交通網を整備するためにも、道路財源を確保していきたい」(園田代議士)。「真に必要な道路を年内にもまとめる道路整備中期計画に盛り込み、今後10年間の整備目標を示す。そのためにも暫定税率の維持が必要」(菊川滋大臣官房審議官)−と、道路整備に必要な事業費の確保に全力を挙げる姿勢を示した。
 鍬入れ式は、熊本河川国道事務所が嘉島山都間の事業主体となって初の本線部工事着手となる「千滝川橋下部工工事現場」に場所を移動。来賓15人が一列になって鍬入れをし、工事の安全を祈願した。

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