Dまちづくり条例で、情報共有化平成17年4月25日新聞掲載
宮原町のまちづくり事業
 国土交通省と熊本県が進める国道3号宮原交差点改良事業をきっかけに、八代郡宮原町は、平成14年度から、町が主体の 「まちづくり総合支援事業」 と、町民が主体の 「優良建築物等整備事業」 の2大プロジェクトをスタートさせた。まちづくり条例との併用で、昔ながらの趣のある風景と賑わいのある町なみを再編しようとするユニークな取り組みが進むにつれ、宮原町の新しい顔が徐々に姿を見せはじめている。

・町民との信頼関係
 平成15年1月1日 『まちづくり条例』 が施行された。 この条例は、宮原町が
新総合振興計画で取り決めてきたことを具体化したもので▽町民が行うまちづくり▽町が行うまちづくり施策の策定▽開発建築行為の手続き−など基本的な仕組みやルールを定めている。
 「住民と町の情報の共有化を図り、まちづくりをすることが大事」 と宮原町建設下水道課の江嵜悟課長は、住民参加のまちづくりを訴える。「何をするにも住民への説明や協議を経て決定する。何も知らされないまま物事が進むということはない。情報共有により町民との信頼関係もより強いものとなった」。
 現在、町が主体となり進めているまちづくり総合支援事業は、町道のほか、街区道路、公園広場、植栽、せせらぎ水路などの生活基盤整備が柱。都市計画区域外で区画整理などを行うのは、事業に対する補助率が低いなどの問題点もあるが、町は条例に基づき、整備を進めている。
 優良建築物等整備事業では、宮原交差点沿線などを対象に商店街の共同化、協調建替などに取り組んでいる。条例施行後、適用を受けて建てられた建築物は9件。傾斜屋根や在来工法を採用するなど、町なみの景観に配慮しており、それぞれの施設が地域の魅力づくりの一躍を担っている。
 まちづくり条例には、町全体をゾーニングし、土地利用に対する規制も設けている。暮らしやすい環境創造ゾーンで整備を進めているのは有佐駅前団地。計画にあたっては、町内建設業者の若手メンバーらにより、昔の建造物や町なみを調査し、宮原町らしい¥Zまいのあり方を検討。町は宅地分譲する際、その案を基に建築協定を定め、条件付で分譲した。その結果、 「いい雰囲気を出している」 (江嵜課長)。




まちづくり条例に基づき建設された民間住宅



宮原町づくりアドバイザーの寺川重俊氏

・住む人の充実感
 10数年前に国土庁のまちづくりアドバイザーとして初めて宮原町を訪れた(有)寺川ムラまち研究所の寺川重俊代表は、計画段階からこのプロジェクトに携わる中心人物の1人。「宮原町には、平場から山間を見る昔ながらのすばらしい景色がある」 と絶賛し、この景観を後世に残すべきだという思いをもつ。
 「昔は、地元に大工や瓦、左官などの職人がたくさんいて、その職人のセンスで物が造られ、できた物が集合することで、町なみが形成されていた」。寺川代表は、町なみの継承には欠かせない職人の後継者不足を嘆き、職人を育てることの重要性を訴える。
 まちづくり条例は、宮原町の景観や町なみに誇りや愛着をもつことを実現する仕組みとしてうまく機能している。地場産材を使って地元業者が施工すれば町の経済活性化につながる≠ニの想いは住民の願いだ。 宮原町の人口は5,100人。目標人口の5,300人に達するまでの間、木造住宅を新築する者を対象に、町が上限100万円まで補助金を出すというめずらしい取り組みにもチャレンジしている。

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