ABCS賞受賞。全国から注目平成17年2月21日新聞掲載
鹿北町の小栗郷カントリーパーク
 平成10年、鹿北町(現山鹿市)の道の駅「小栗郷」背後地で、賑わいの場を創出する一大プロジェクトがスタートした。棚田を利用した「小栗郷カントリーパーク」。くまもとアートポリス参加作品で、高い芸術性と和みの空間は、熊本県内外から高い評価を受けている。
 このプロジェクトでは、道の駅背後地ということもあり、都市との交流や町民の憩いの場を創出する狙いがあった。休耕田として元々あった棚田の利用は、整備も比較的簡単で、コスト的にも安上がり。土地の有効利用を図ることで、地元からも歓迎された。
 「対象作品は建物がほとんど。公園整備のプロジェクトは数も少なく、話題性も狙った」。当時、企画を担当した山鹿市秘書課の才田係長は、くまもとアートポリス事業に参加を決めた理由の一つを説明する。
 早速、町では設計コンペのための応募要項を作成。懸賞金付きのオープンコンペの実施を決めた。集まった作品は、268点。審査の結果、鹿島建設に勤める山田良・綾子氏の共同作品が最優秀に選ばれた。審査にあたった建築家・岡部憲明氏は「シンプルな提案で、点を中心に棚田を面構成するなどアート性がある」と絶賛した。
 「自分が何を創っているのか判らなかった。3カ月ぐらいたって自分も少しずつこの芸術に参加しようという気持ちが出てきた」と話すのは、施工を担当した鰹ャ川建設の古川信義技士。会社員の山田氏ら本人たちは、現場に常駐することは困難だったので、ファックスやメールのやりとりが日課となった。
 図面はイメージ的なものがほとんど。手書きでミリ単位の指示書が来る。それを古川技士が施工図に落とし、設計者に承認してもらう。詳細な注文が多く、フレームトンネルで使った木の調達では、実際に山に入って立ち会ったことも。
 平成15年、国内の優秀な建築作品に贈られるBCS賞(建築業協会賞)を受賞。この賞は『優秀な建築物はデザインだけではなく施工技術も重要』として建築主、設計者、施工者−の3者が表彰される。鹿北町の憩いの場に全国の目が集まった。
 古川技士は「芸術に挑んだことで、会社としては大きな自信につながったと思う。ただ、田舎にはもったいないような気もする。それに芸術的なものは万人に受け入れられるとは限りませんから」。美の表現に戸惑いながらも、一大プロジェクトに携わったことに誇りを感じている。  



都市との交流や町民の憩いの場として整備された
小栗郷カントリーパーク




施工を担当した(株)小川建設の古川信義技士



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