今回開通区間L=10km                                平成19年9月13日新聞掲載
 熊本県が約363億円を投じて整備を進めてきた「松島有明道路(上天草市松島町今泉―天草市有明町上津浦間L10`)」がこのほど完成。8日、開通した。
 同道路は、国土交通省と県が共同整備する熊本天草幹線道路(熊本市―天草市本渡町間L約70`)の計画区間内に整備。同じく県が平成14年5月に開通させた松島有料道路3・3`と連結し、交通渋滞の大幅な緩和はもちろん、今回の新たな動脈は、熊本県が掲げる熊本都市圏と県内主要都市を90分で結ぶ「90分構想」の実現にも一歩前進することとなった。
 一方、熊本天草幹線道路については、現在、県施工区間の上天草市大矢野町の約3`が整備区間、同町の約3`と終点の天草市側約4`が調査区間に指定。国土交通省施工区間では、熊本市から宇土市間約4`が整備区間に決まっており、早期着工・完成が待たれている。
所要時間約6分短縮(上天草市松島町今泉―天草市有明町上津浦間)
熊本都市圏との連携期待
 松島有明道路は、松島有料道路の知十インター接続部から、道の駅有明近くの国道324号へ繋がる地域高規格道路(自動車専用道路)。平成7年度に調査区間に指定され、10年度から工事を始めた。
 延長10`の暫定2車線道路(全幅員10・5b)で、設計速度は80`。上天草市「米の山」と、天草市「上津浦」の2カ所にインターチェンジを設け、構造物は、橋梁15カ所(総延長3・2`)、トンネル3カ所(同1・4`)と区間延長の約半数を占める。このほか、主要施設として非常用押ボタン28台、非常電話37台、トンネル警報表示板5面、道路情報板5基を整備している。通行は無料。
 開通区間の所要時間は、国道324号利用時と比較して約6分間短縮の約9分間。松島有料道路も含めると、天草5号橋から天草市有明町上津浦までが、国道324号利用時では約24分間かかっていたものが約12分間で通行でき、天草地域住民の生活圏の拡大は言うまでもなく、熊本都市圏との地域間交流・連携の活発化が期待されている。

−橋梁
楠甫大橋は混合橋を採用
 橋梁は、上天草市側から知十インター橋、今泉跨道橋、倉江大橋、楠甫大橋、大楠1号橋、大楠2号橋、大浦1号橋、大浦2号橋、汐屋河内橋、須子大橋、赤崎1号橋、赤崎2号橋、赤崎3号橋、四郎ヶ浜橋、上津浦跨道橋―の15橋。
 このうち延長が635bと最も長い楠甫大橋は、楠甫川と、ほ場整備された水田地帯を跨ぐ状況にあったため、橋脚の数や、スパンの長さ等をコスト面から比較検討し、PCと鋼の混合橋を採用している。さらに、教良木川に橋脚が立つ倉江大橋は、地盤の形状からニューマチックケーソンで下部工を建設するなど各個所に適した工法等で施工した。
−トンネル
3カ所に設置。最大延長は760b
 トンネルは、米の山トンネル、須子トンネル、有明トンネルの3カ所。延長760bの有明トンネルは、天草市有明町上津浦の山あいにある「マスターズゴルフ場」の下を貫通している。いずれもNATM工法で建設された。
−道路法面部
弱い層にはアンカー工を導入
 天草市有明町の赤崎地区と上津浦地区では、部分的に弱い層が見つかったことから、高強度の鋼材などの引張り材を挿入し、鋼材の引張り力を利用することで地すべりを抑止するアンカー工を導入した。


 

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−式辞(抜粋)−
潮谷・熊本県知事
 この良き日に松島有明道路、開通することができましたことを皆様とともに、心からお喜び申し上げます。
 すでに、皆様ご承知のとおり、3年半後には私共は九州新幹線の全線開業を迎えます。この開業は縦軸のつながりとともに横軸に道路をどのように整備をしていくのかという大きな課題、あるいは観光戦略、空や港の問題に対して私共がしっかりと対応していかなければならないという課題も同時に与えています。
 とりわけ、この地域はその中でもしっかりとした観光戦略の展開を求められています。
 ひとたび海を経てこの地に来たら、ひとたび道路を利用しながらこの地に来たら、ひとたび海を本当にゆったりと眺めながらこの地にきたら、そこは素晴らしい宝の島、異次元の世界が広がる。そういったことを私共は今後とも県内外、国内外に広げていかなければならないと思っております。
 この松島有明道路は可能性いっぱいの道路です。天草地域の豊かな自然、そしてまた人情味の豊かさ、キリシタン文化をはじめとする南蛮文化の残る地域。所要時間が短縮されたということは、そういったことのアピールがますます必要になり、また、ますます認識されていくということでもございます。
 熊本県は90分構想の中でこの道路を不可欠な道路と位置づけて重点的に整備を進めているところです。本日、松島有明道路が開通した、ということも実はその一部として重要な役割を担っております。
 今後、私共は、ただいま申し上げましたような形で、天草に対しての道路整備を着実に進行させて参りたいと考えておりますので、お集まりの皆様方もご理解とともに、ご支援を頂きたいと心から願っているところです。
 最後になりましたが、開通にあたりまして、幾多の困難を克服し従事してくださいました働き人の皆様、行政の方々、市民の皆様方、本当にありがとうございます。お礼を心から申し上げまして、今後とも、この地域の発展、そして更に求められる皆様方とのパートナーシップを豊かに展開して参りたいと思います。開通にあたりまして感謝と御祝いの言葉とさせて頂きます。本日は皆様おめでとうございます。
−熊本天草幹線道路「松島有明道路」の開通に寄せて−
安田公寛・天草市長
 熊本天草幹線道路「松島有明道路」が開通の運びとなりましたことは、天草島民の皆様とともに、まことに喜びにたえません。
熊本天草幹線道路は、中九州横断道路などの地域高規格道路と一体となって熊本県の道路網の骨格を形成し、熊本都市圏を中心とした地域間交流や物流の促進を図るうえで大変重要な道路でございます。
 天草地域は豊かな観光資源に恵まれた県内有数の観光地でありますが、熊本都市圏から最も遠い地域にあり、また、地域内外とのアクセスは、国道1本のため、観光シーズンなどの週末には、渋滞が慢性化しております。
このような中、本道路の果たす役割は、地域内外との交流や物流の促進等、また、災害時の緊急道路や迂回ルートとして、さらに、熊本県が推進しておられる熊本都市圏と県内主要都市間を90分で結ぶ「90分構想」の実現がより身近なものとなり、九州本土と一体となった観光ルートの形成やアクセスの向上など、天草地域の発展に、さらなる効果があるものと期待するものでございます。
ここに、本工事の建設にあたりご尽力、ご協力を賜りました、関係各位、並びに沿道の皆様に厚くお礼を申し上げますとともに、今後も天草地域の発展のためになお一層のお力添えを賜りますようお願いを申し上げます。
川端祐樹・上天草市長
熊本天草幹線道路「松島有明道路」の開通おめでとうございます、心からお祝い申し上げます。 
地元市長といたしまして国土交通省、九州地方整備局、熊本県ご当局をはじめ関係機関の皆様方、また、高い技術力で工事を遂行されました工事関係者の皆様方へ厚く御礼と感謝を申し上げたいと思います。
 上天草市は、平成16年3月に旧大矢野町、松島町、姫戸町、龍ヶ岳町の4町合併により誕生し、「“人”と“海”のふれあうまち」〜人と海を活かし、自立した地域づくりへの挑戦〜をキャッチフレーズにまちづくりを進めております。
 合併により広域的な行政運営を行ううえで、地域間の交流・連携を深めながらまちづくりを進める必要がございます。この松島有明道路の開通は、本市のまちづくりを進めるうえで大変喜ばしいことと思っております。
 天草地域は、地理的条件等や交通基盤整備が遅れるなか、昨今では地域経済の停滞が顕著化し、また、雇用の場も少ないことから若年層の流出が続き、県内でも高齢化が進んだ地域のひとつとなっています。このことからも、熊本天草幹線道路は、熊本都市圏と宇城・天草地域を結び地域間交流や物流の促進を図るうえで、非常に重要な道路と認識しております。
 松島有明道路の開通にあたりまして、地域高規格道路「熊本天草幹線道路」の早期全線開通と関係者皆様方の今後益々のご繁栄を祈念いたしまして、開通にあたりましての私の挨拶といたします。
熊本天草幹線道路「90分構想」実現に高まる期待
 今回供用開始した松島有明道路。平成14年に開通した松島有料道路とあわせ約13`が完成したが、国交省施工区間も含めた熊本天草幹線道路でみると、開通したのは全線延長約70`のうちの2割にも達していないのが現状だ。
 全線が開通してはじめて、熊本県庁から天草市役所までの所要時間が、整備前の120分から35分短縮され85分になり、県が掲げる「90分構想」が実現する。
 国交省と県では、それぞれ整備区間として、国交省が熊本宇土道路約4`、県が大矢野バイパス約3`を早期着工に向け準備中で、他の調査区間も整備区間指定に向け諸調査を進めている段階。今回の松島有明道路開通による整備効果をきっかけに、未整備区間の早期着工を期待したい。

県整備区間・大矢野バイパス約3km
整備区間 10カ年程度で事業費約185億円
橋長465mの新天門橋は今年度詳細設計へ

 宇城市三角町三角浦から上天草市大矢野町上までの調査区間6`のうち3`が18年3月、大矢野バイパスとして、整備区間の指定を受けた。PI方式で道路づくりを検討し17年3月、ルートを国道266号の西側を通過し集落を極力回避した山側ルート、インターチェンジの位置を天草四郎公園周辺とした提言書をまとめていた。
 整備区間は、天草地域の玄関口に位置し、国道266号が九州本島と天草地域を結ぶ唯一の道路。渋滞に加え、昭和41年供用の天門橋(天草1号橋)が老朽化し、災害・緊急時の代替路確保が課題となっており、新天門橋架橋を含めたバイパス化が計画された。
 新天門橋の架橋にあたっては、技術検討委が今年7月、比較3案の中から、海上に橋脚を設けず景観が優れている点などから橋梁形式を鋼PC複合アーチ橋に決めた。架橋位置は、現橋の北側に並ぶかたち。橋長465b、アーチ支間長340bで、工期は最短で約3年8カ月。
 県は、平成20年度までに委員会で、橋梁主構造部材や細部構造の決定、施工計画等のまとめなどを行う。また、今年度末からは詳細設計に着手することにしている。予備設計は大日本コンサルタント九州支社。
 起点の宇城市三角町三角浦にはインターチェンジを設ける。場所は国道57号と国道266号の交差点付近になるもよう。熊本市内から三角浦までは国土交通省の施工区間で路線の位置が決まっていないことから、現国道と接続させるかたちになる。
 整備区間内でこれまで実施したコンサルタント業務は、環境影響評価や道路予備設計、地質調査など。これから用地買収に向けた地元説明会に入るため、着工時期は今のところ未定。工事用道路の確保が必要な場所もあり、用地取得の進ちょく状況を見ながら着工したい考えだ。概ね10カ年で整備し、総事業費は約185億円を見込んでいる。大矢野バイパスの計画概要は、第1種3級、設計速度60`b/h、2車線。
 一方、調査区間となっている上天草市大矢野町登立から大矢野町上までの約3`については、必要な調査を進め、整備区間の進捗状況等を見極めながら整備区間指定を目指す方針だ。

県調査区間・天草市約4km
整備区間指定へ調査中、第2天草瀬戸大橋も
 上津浦ICから天草市本渡までの約12`のうち、天草市志柿町から本渡間、第2天草瀬戸大橋(仮称)の架橋を含む約4`が、平成16年3月に調査区間に指定されている。
 現在の天草瀬戸大橋=写真=は、上島と下島の間にある本渡瀬戸約100bを跨ぐ。船が通る高さを確保するために橋の両サイドがループになっている鋼連続桁で、橋長は約700b。昭和49年に完成した。
 天草五橋と同様、九州本土と天草地域を結ぶ唯一の橋梁で交通渋滞が著しく、熊本天草間幹線道路整備促進期成会らが県議会建設常任委員会に「地域浮揚のため緊急に取り組むべき課題」と要望。県では、調査区間の路線検討・環境関連基礎調査や、地質調査など整備区間指定に向けた各種調査に取り組んでいる。

国交省整備区間・熊本宇土道路約4km
本線部や横断管渠など設計中、緑川大橋は約800m
 熊本河川国道事務所が本線部や横断管渠などを詳細設計中。平成20年2月末までに設計をまとめるほか、併行して本線部を横断させる農業用水路工事を一部計画。本線部の早期着工に向けて準備を進めている。
 熊本宇土道路は、熊本市海路口町から宇土市城塚町までの約3・8`、幅員20・5b(4車線)。緑川=写真=を跨ぐ橋長約800bの緑川大橋(仮称)を建設するほか、既存道路と接続させるため、起点と終点に海路口IC(仮称)と城塚IC(仮称)を設置する。整備区間一帯が海沿いに位置し、地下40b付近まで軟弱地盤であるため、地盤の安定化対策も検討する。
 今年度は、道路を横断させる農業用水路の一部工事を計画し、20年度以降に市道・農道の横断管渠工事に着手。横断管渠を整備し終えた上で、本線部の工事に取りかかる見通し。
 国道3号熊本市近見交差点から宇土市松原交差点間は、天草方面と八代方面への交通が混在し著しい交通渋滞を引き起こしており、この交通混雑緩和も期待されている。

[目次]