熊本市東部の環状道路網形成へ前進                        平成20年3月13日新聞掲載
 国土交通省熊本河川国道事務所が平成10年度から工事を進めてきた熊本北バイパス「合志市須屋−熊本市麻生田間」1.6`が8日午後3時に開通した。国道3号の渋滞解消だけでなく、経済活性化や物流の効率化、産業創出など、その効果は計り知れない。道路はつながって最大の効果を発揮するもの。今回の開通をステップに一日も早い全線開通が待たれる。


200人出席し盛大に開通式典
 一般国道3号熊本北バイパス「須屋〜麻生田間」の開通式典が8日、合志市の須屋市民センターで開かれた。会場には、国土交通省や国会議員、北バイパス期成会、施工関係者ら約200人が出席し、開通を盛大に祝った。
 国土交通省熊本河川国道事務所の七條牧生所長の式辞に続き、来賓の潮谷義子熊本県知事、木原稔衆議院議員、村上寅美熊本県議会議長、幸山政史熊本市長、大住清昭合志市長があいさつ。
 木原代議士は「B(利益)バイC(コスト)で算出すると、北バイパスは間違いなく必要な道路」、村上議長は「道州制や政令指定都市を睨んだ時、北バイパスを含めた横軸道路整備は不可欠」、幸山市長は「熊本都市圏の環状道路の役割を担う重要な道路」―など同バイパスの必要性について言及し、残り区間の早急な完成を訴えた。
 式典後は、新地歩道橋近くに移動。白百合保育園園児らの白百合太鼓と、肥後真狗舞のYOSAKOI踊りが彩りを添え、最後に鋏入れとくす玉開披が行われ、大きな拍手に包まれた。

■安全、環境にも貢献
 鈴木克宗 九州地方整備局長

 国道387号に接続することで、既存供用区間の利用も増え、生活道路にまで多くの車が入り込んでいる状態が、相当緩和される。
 全線開通時には、国道3号と東・北バイパスに挟まれた地域の県道以上の交通量が約1割減少し、CO2発生も1割以上削減。単なる3号の渋滞緩和だけでなく、生活エリアの再生、交通安全、環境などに大きな効果を発揮する。
 暫定税率が廃止されると、熊本県で100億円、熊本市で10億円、合志市で1億円の財源が無くなる。連続立体交差事業の9割は道路特定財源。都市空間や地域インフラづくりに使われているということもご理解頂きたい。
 残り区間および西環状道路の完成等によって、熊本が21世紀の真にゆったりとした環境都市になることを祈念申し上げる。〈式典あいさつより〉

■横軸形成に大きな役割
 潮谷義子 熊本県知事

 国、市とともに横軸をしっかりとしたものにするための事業を進めているが、北バイパスの残り区間が完成すると、環状道路の形成に向けて大きな役割を果たす。また、この地域は将来的な展望のなかで大きな可能性を持つところであり、道路整備は今後の市の発展、まちの発展を支えていく大きな力になる。
 今、国会で道路特定財源を廻る様々な議論がなされているが、道路整備は本県にとって、新幹線開業後の10年間、欠いてはならない非常に大事な施策。3月末で切れると、残り区間をストップせざるを得ない状況になったり、県独自で展開している乳幼児医療費の問題や障害者に対する問題、学校教育現場に対する問題など、さまざまなところに影響が及んでくる。改めるべきことは国に申し上げるが、ご理解を賜りたい。〈式典あいさつより〉




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合志市長(元 北バイパス建設促進期成会会長)
大住清昭氏に聞く
◇熊本市東部の環状道路網を形成する北バイパスは、熊本市をはじめ周辺地域の交通混雑緩和や、地域間連携の強化などにつながるものと期待される。特に今回の部分開通は、合志市の経済効果等に大きく寄与し、市民も待ち望んでいた。「熊本北バイパス建設促進期成会」(平成18年8月解散)の会長として、長年早期完成を訴えてきた同市の大住清昭市長に合志市に与える開通のメリットを聞いた。◇
市西部〜県庁間が約20分短縮
―部分開通で今後、市の交通体系はどのように変わっていくと思われますか
 これまで国道387号から北バイパスへ乗り入れる場合、そのルートは、狭小で湾曲した非常に混雑する道路に限られ、危険性も高かった。しかし今回、国道から直接乗り入れが可能になることで、通学、歩行者の安全性はもちろん、市西部(旧西合志町)から県庁までの所要時間は20分程度の短縮が見込め、熊本市東部への通勤もスムーズになる。
 さらに、鹿児島・天草方面へ行くには、熊本市中心市街地(国道3号)を抜ける車両が大半を占めていたが、今後は、北バイパスから東バイパスを経由する車両が増加し、熊本市内中心部の交通円滑化や環境改善などが予想される。

沿路サービスの向上で周辺商店街に好影響

―開通が及ぼす経済効果や波及効果は
 第一に車両や人の流れが変わることで、市に多くの物や人が流入し、沿路サービスの向上など周辺商店街に良い影響を与えることだ。市の産業も、移動時間短縮による行動範囲の拡大や、輸送コストの削減による事業活動の活発化が期待できる。
 一方、北バイパスと熊本電鉄軌道敷きとの立体交差部には、バス停の新設と新須屋駅の移転も計画されている。東バイパス方面など熊本市東部方面への公共交通機関のルートが開拓でき、子供からお年寄りまでの幅広い層の移動の手段の確保につながることは間違いない。合志市南部は、ベッドタウンとして発展してきた経緯があるが、利便性が向上することにより、より一層の人口増となるだろう。

―市が進める企業誘致政策にも大きな利点となるのでは
 昨今、企業が立地するための条件で「交通アクセスの便利さ」がかなりのウエートを占める。道路が整備されることにより、企業の不安要素が解消され、今まで立地困難な場所が適地へと変貌することは十分に考えられる。北バイパスは、通勤・通学路や搬送ルートでの交通事故などリスク回避にも貢献し、安心安全∞共存共栄≠フ企業誘致ができると確信している。

―全線開通後の北バイパスが担う役割は
 北バイパスは地域の主要幹線道路としてだけでなく、熊本都市圏の環状道路形成の重要路線としても位置づけられる。今後、北バイパスが国道3号まで延伸し、さらに熊本西環状道路が完成すると、県中央部の交通は劇的に発達する。更なる経済の発展や安全確保による周辺環境の改善、多方面への公共交通網の整備による移動手段の多様化など、多くの好影響を生み出すバイパスとなっていくと信じている。
開通区間の約半分が須屋高架橋
橋脚32基 堀川、電鉄跨ぐ766m
 一般国道3号熊本北バイパス整備事業は、昭和48年度に事業化。起点側の熊本市四方寄町の一般国道3号と終点側の新南部四丁目の国道57号東バイパスを接続する延長7・6`、幅員30b(4車線)のバイパスで、熊本市東部の環状道路網を形成する。
 総事業費は約804億円。現在までの事業進ちょく率は事業費ベースで約80%(平成19年度末見込み)となっている。熊本市麻生田交差点から終点までの4・2`区間は平成16年までに4車線で供用している。
 今回開通区間は、合志市須屋交差点から熊本市麻生田交差点までの1・6`。平成10年度から工事をスタートさせ、今年3月に完成した。
 開通による主な整備効果として@環状道路の一部を形成し中心市街地への交通集中を抑制A周辺の生活道路へ流入している交通を転換し交通安全を図る―が挙げられる。交通量や時間などの数値的な整備効果は3月〜5月に測定を実施する予定。

 開通区間のメインとなるのは、堀川、熊本電気鉄道線路などを跨ぐ橋長766bの須屋(旧西合志)高架橋。接続する国道387号、北バイパスとも4車線のため立体交差が望ましく、地上道では地域が分断されてしまうといった住民の要望も取り入れ高架化した。今回開通区間延長の約半分を占める。
 上部工の構造は、須屋交差点前までの707bが鋼連続合成鈑橋、国道387号を跨ぐ59bが鋼単純非合成箱桁。下部工は橋脚32基、橋台3基。国道387号とはON・OFFランプ橋で接続する。
 国道387号を跨ぐ59bの上部工はまだ工事に着手しておらず、須屋交差点以北の延伸区間の整備状況をみて着手する考え。これまでに須屋高架橋にかかった事業費は約33億円。

残り1.8kmは暫定2車線で
石田橋を先行整備へ
 残る整備区間(1工区)は、須屋交差点から起点側(熊本市四方寄)の国道3号との接続地点までの1.8`。このうち起点側約300bを除く道路区間は、既に詳細設計を終え、熊本市鶴羽田地区の一部で、土工工事に着手している。20年度以降も用地取得が済み次第、土工、盛土、切土工事や道路舗装工事などに随時着手し、まずは暫定2車線での早期供用を目指す。現在の用地取得率は3〜4割程度。

橋脚3基、橋台、上部工を20年度以降発注
 1工区内の構造物として、石田橋(仮称)と四方寄橋(仮称)の建設が計画されている。石田橋は将来下り線となる部分を先に建設し、暫定2車線で整備する。
 石田橋は橋長383b、幅員11・25bで、坪井川を跨ぐ山あいに建設する。上部工の構造は295bがPCラーメン箱桁、88bがPCコンポ桁。下部工は橋脚5基、橋台2基。地上からの高さは最長(坪井川付近からの高さ)で約35bにも及ぶ。
 石田橋はP1、P3橋脚の下部工工事を既に発注済み。1工区内で工期が最も長くなるため、全体の工事の進ちょくを合わせる目的から用地取得を重点的に進め、20年度以降も残りの下部工工事に随時取りかかる方針。
 四方寄橋は、起点側の国道3号との交差部付近に建設。設計は着手していないが、40b程度の橋長を想定している。
 現在、交差点の形状について協議を進めており、形状の見直しによっては橋長や形式が変わってくる。国道3号とは、須屋交差点と同様のON・OFFランプでの接続を計画している。
北BPと接続する植木BPも整備開始
 将来、熊本北バイパスの起点側は、一般国道3号植木バイパスと接続する。植木バイパスは、一般国道208号の植木町鞍掛から北バイパス起点の熊本市四方寄町までの延長5・6`、幅員25・25b(4車線)の主要幹線道路。北バイパスと一体となることで、熊本市と県北を結ぶ重要な交通網を形成する。
 工事は、2工区(2・3`)、3―1工区(1・8`)、3―2工区(1・5`)に分けて整備。2工区は平成22年度を供用目標に工事を進めており、今年度は鐙田橋の下部工工事に着手している。その他工区は現在
調査区間。


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