老朽化した壁画移設を可能に                        平成18年8月10日新聞掲載

■外壁タイル剥落防止工法で
 巨大なモザイク壁画を保存・移設する大掛かりなプロジェクトが、熊本市内で進んでいる。この事業に一役買っているのが、熊本市の防水補修業者、泣Tン技研(鬼塚龍彦社長)。同社が加盟する日本樹脂施工協同組合の外壁タイル剥離防止工法「JK―セライダー」の強度の高さが、関係者の間で話題となっている。
 保存される壁画は、著名な洋画家・故海老原喜之助氏の油絵「蝶」を、1960年に熊本市新市街の熊本東宝会館正面に制作したもの。高さ13・6b、幅10・1b。原画は日本国際美術展でグランプリを受賞している。
 老朽化により建物が解体されるため、美術や文化関係者から保存の声が上がり、現在建設中の熊本学園大学(熊本市大江2丁目)の「60周年記念会館」に移設することが決まった。
 この保存活動の中心となって奔走したのは、記念館の設計者でもある野中建築事務所(熊本市新大江2丁目)の野中暉夫社長。問題の1つに、壁画の老朽化があった。40年以上経つ壁画は、タイルの剥離や劣化が激しく、このままの状態で動かすと壊れてしまう。そこで、解体工事を担当していた椛O田産業(熊本市島町)とも協議し、サン技研のもつ外壁タイル剥離防止工法に目を付けた。

−文化財保護にサン技研(熊本市)が一役

 「JK―セライダー」は、短繊維を混入した特殊アクリル樹脂と特殊アンカーピンで、タイル張り外壁を面で補強するタイル落下防止工法。皮膜は防水性に富み、透明なため、タイル張り外壁の風合いを損ねることがない。県内で施工できるのは同社を含め3社。組合と組合員の共同保証があることからも、性能の良さがうかがえる。
 今回の現場では、JK―セライダーを0・4_の厚さで2層に重ね塗りし、さらにトップコートを塗布する。強度が増した後、解体業者が壁画をエアカッターでおよそ2b角に切断し、復元先に移設。今度は、特殊アンカーピンを使って壁画を固定し、元の壁画を復元していく。阪神・淡路大震災クラスの振動にも耐えるという同工法の強度が、老朽化した壁画の移設を可能にした。
 サン技研では、これまで水俣商工会議所など40カ所以上に、この工法を採用している。鬼塚社長は「いろんな現場で施工したが、塗布後に一度解体するというのは今回が初めて。貴重な文化財の保護に力を貸すことができて、とてもうれしい」と話す。
 来年3月頃には、熊本学園大学に再び「蝶」が、その姿をあらわす。


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