平成18年7月10日新聞掲載
 雇用・能力開発機構は、建設労働者の雇用改善のための措置として、建設事業主等が能力の開発や雇用管理研修等の実施に要した経費や労働者の賃金の一部を支援する助成金制度を設けている。しかし、その助成制度は、熊本県内においてもまだまだ周知されていないことや、手続き等に手間がかかることなどの理由から、依然、利用度が低い状況にある。
 そこで、同機構熊本センター調査役の西銘茂光氏に助成金の種類や利用方法等について、また、助成金を頻繁に活用し、会社の雇用環境の改善に成果を上げている鰍アざきの古崎正敏社長に活用のメリット等について聞いてみた。

技能向上のための経費を助成
雇用・能力開発機構熊本センター熊本テルサ事務所  調査役  西銘茂光氏  

西銘茂光氏――建設業関係で利用できる助成金の種類は
 建設労働者の技能向上を図るための「建設教育訓練助成金」、雇用管理の改善を図るための「雇用管理研修等助成金」、職場環境の整備改善を図るための「福利厚生助成金」、それに、雇用管理の改善・職場環境の整備改善として建設労働者の再就職の支援を行うための「雇用改善推進事業助成金」などがある。

――特に利用してほしい助成金は
 建設教育訓練助成金では、第2種技能実習、第2種通信教育訓練、第4種認定訓練、第4種技能実習など。また、雇用管理研修等助成金では第2種、福利厚生助成金では現場福利施設など。

――利用状況については
 平成17年度をみると、第4種技能実習が389件で一番多く、続いて第4種認定訓練45件、第2種技能実習43件、第2種通信教育訓練38件、雇用管理研修等助成金(第2種)32件、現場福利施設7件となっている。

――建設事業主に訴えたいことは
 建設業においては、公共工事の受注減少と併せて、ここ数年の地方公共団体発注の工事で低入札工事が増加するなど、厳しい環境にあると思う。そのような中で、中小建設業が工事を発注し、利益を上げていくためには、現場を中心とした技術職員の能力の向上や資格取得等により生産性の効率化を図って行くことが急務であると思う。また、中小建設業において、ITの活用も現場を中心として必要不可欠となっており、CALS/ECへの対応は今後の課題と言える。
 一方、労働者の雇用の改善、能力の開発や向上並びに福祉の増進を図ることも大変重要となってくる。そこで、独立行政法人雇用・能力開発機構熊本センターでは、事業主の行う事業の一助として、雇用管理の改善についての助言・援助及び建設雇用改善助成金の支給業務等を行っている。経営基盤の強化となる建設労働者の知識の習得、技能向上のための能力開発や資格取得に係る経費は、経営をかなり圧迫するもと思われる。せっかくのこの制度を是非、利用してもらい、業績向上に資することを期待している。

――手続きの方法について
 他の助成金に比して特に繁雑さはないが、手続きについては、助成金の種類によって異なるため注意が必要。
 例えば実施前の認定(技能講習開始日前14日以内等)を必要とするものと認定を必要としない助成金があるほか、支給申請については、講習等の修了後1カ月以内に申請する等の要件がある。
 よって助成金の対象コースであるか否かの確認および認定行為の有無については事前に確認することが必要となる。
 助成金の申請時期については、前にも述べたように時期を逸することなく、先ず電話(096・386・5101)にてご相談をお願いしたい。内容が不明な場合は、気軽にご来所いただき、提出書類が簡単なことなど、説明したいと思っている。
 また、その中で、他の助成金に係る情報の収集など、学習できることが多分にある。事業の閑散期こそ教育訓練の実施のチャンス。制度の内容を把握され、活用するか否かは事業主の判断とするところだが、全県くまなく恒常的に制度の周知・広報を行うことが私どもの使命と認識し、活用促進に努めていきたいと思っている。


30年間、技能者育成等に活用!
(株)こざき(熊本市)代表取締役社長  古崎正敏氏  30年間、技能者育成等に活用

古崎正敏氏――利用状況は
 昭和48年頃から約30年以上、独立行政法人雇用・能力開発機構(当時雇用促進事業団)のキャリア形成促進助成金と、建設雇用改善助成金(建設教育訓練助成金)を主に利用している。対象となる認定訓練校は、熊本市建設技術専門学院(塗装科)で、年に平均3人程度入校させている。

――助成金を利用したキッカケは
 かなり前の話しになるが、熊本県塗装業協同組合を立ち上げた当時、中卒などの若者が、中央に就職する傾向が強かった。それで、先代らが「若者を地元に定着させるには、地元に学校をつくらなければならない」との決意し、熊本市に認定訓練校を設立した。
 その時、一つの会社ではなく、業界が協力して取り組んだことから、塗装、左官、型枠、瓦、防水などの多くの訓練科を設けることができた。業界が一丸となって取り組んでいく中、「今後、多くの技能者を育てていくためには、国等の助成金制度の活用が是非とも必要」ということが始まりと聞いている。

――助成金を利用することのメリットは
 年間約40日、訓練校に行かせているが、通常なら働いてもらわないといけないところを、国等の支援により有給で訓練させてもらっている。中小企業にとって年間、1人当たり約十数万円程度が助成されるので、技能者を育成していく上で大変、役立っている。
 また、優秀な技能者は、ある程度現場を理解し、施工管理の勉強をしていけば、技能者を管理していく監督(技術者)への道が開ける。そういう人材を育てていく入口としても、助成金を大いに活用している。
 それとメリットではないが、高校等の進路指導の先生に、このような助成金を活用して技能者を育成している話をすると、大変驚かれる。

――手続き等について
 最初は面倒と感じたが、一度やってみて、慣れればあとは簡単。雇用・能力開発機構の職員の方が、手取足取り教えてくれるので、慣れてしまえば誰でもできるのではと思う。

――雇用・能力開発機構に対して要望等は
 対象助成事業の枠を広げてもらいたい。例えば、2007年問題など後継者育成に係わる技能関係の助成金を是非、増やしてもらいたい。

――事業主へのアドバイスなどは
 面倒くさいと思わず、まずは、一度行ってみて、「どうにかなりますか」と、気軽に相談してみること。高所作業者の技能講習等は、必ず受けなければならないものなので、助成額は少ないかもしれないが、まずはトライすることを勧めたい。
 それと、仮に助成金を受けた場合、訓練生本人にこの制度のことを伝えた方がいい。国のお金を使って、教育させてもらっていることを本人達に認識させることで、やる気も違ってくると感じる。

[目次]