家賃や入居資格を独自設定                平成18年12月7日新聞掲載
 玉名郡玉東町は、国庫補助を受けない県内初の地域活性化住宅建設に着手した。町有地に民間事業者が住宅を建設し町が借り上げる、いわゆるリース方式で整備するもの。建設費という初期投資と維持管理費が全く必要なく民間事業者から固定資産税が入るほか、公営住宅法によらないため入居資格や家賃が自由に設定できるなどメリットも多い。財政的に新規の公営住宅建設ができない中で、住民のニーズに応えようという町の取り組みを追った。

入居希望者に対応できず隣接する市町に人口流出
 玉東町では、少子化と若年世帯の町外流出で人口が毎年50人ほど減少。歯止めをかけるため、熊本市や玉名市まで車で数10分ということと、JR木葉駅があるとう地域利点を生かし宅地開発(オレンジタウンこのは駅前)などに力を入れている。
 町営住宅は3団地94戸あり、うち2団地の入居者を毎年公募しているが、空きが無いにもかかわらず申込みが殺到。公募期間外も町内外からの問い合せが多い。
 町営住宅への需要が高い理由は、家賃が安いということもあるが、民間アパートが圧倒的に不足していることも原因。いい物件は全て満室で、隣接する玉名市や植木町に若年世帯を奪われており、「少子高齢化が顕著な町の将来を考えれば、若年世帯が消えていくこの現状をみすみす指をくわえて傍観するにはいかなかった」と町総務課。

借上型町営住宅は入居制限や家賃設定で保留
 整備中の住宅地では宅地購入費と家屋建設費が必要で、低所得の若い世代のニーズを満たすことは到底できず、だからといって、新規町営住宅の建設は財政的にできない・・・。
 そこで、民間活力導入の第1弾として、旧製紙工場跡地に借上型町営住宅32戸の整備を計画した。しかし、宅地分譲の時期と重なることや資金計画、公営住宅法により低所得者に限定される入居資格等の問題―で保留となった。

借上げ終了後は町に無償譲渡
小学生以下の子供がいる世帯に限定し家賃抑える
 民間活力導入の第2弾として考えたのが地域活性化住宅。入居資格や借上げ期間などを定めた条例を8月に制定。町有地の有効活用と児童の減少が著しい山北小への対応から、オレンジタウンに近い県道部田見木葉線(二俣3ノ1)の町有地約1058平方bを建設地に決めた。
 入居資格は、小学生以下の子供がいる世帯に限定し、家賃も3万5000円と低く抑え、子供が成長するにつれて4万円(中学生以下)、4万5000円(高校生以下)、5万円(前記以外)―と段階的に設定した。借上げ期間は20年で、その後は町に無償譲渡される。

建設事業者を公募し審査 大和工商リースに決める
 建設事業者の公募にあたって町が示した主な借上条件は、@町が20年間借上げるのにふさわしい建物A戸当たりの月額借上料(町から事業者へ支払う金額)が6万円以下B5戸以上の戸数C戸当たり住戸専用面積が全戸70平方b以上―など。9月に公募を始め、選定委員会で審査し大和工商リース褐F本支店に決めた。
 規模はS造2階建延べ417平方bで、3DKのメゾネットタイプ(5戸)。11月末に着工しており、19年3月の完成後に町が20年間借り上げる。借上げ料の財源には、入居者の家賃と事業者からの固定資産税を充て不足分を一般財源から持ち出す。
 町総務課では「借家への住宅需要が圧倒的に高いため、今後もこの手法で住宅整備を推進し、地域の活性化、子育て支援、高齢化率の低減を図っていきたい」と話す。全国的にも珍しいこの取り組みが、同じような悩みを持つ自治体の解決策のひとつになるかもしれない。

[目次]