ネット討論会 九州各県のCALS             平成19年1月29日新聞掲載

 九州各県のCALSに対する取り組み状況を語ろうと6県の建設専門新聞紙が昨年末にネット討論会を実施。どの県も専門知識のある人材確保や経費負担の増加など、受注者側が導入に不安を抱いている状況がわかった。

電子入札
大 分 合併市町村はすり合わせ必要
佐 賀 県は原則として紙入札を認めず
長 崎 長崎・佐世保市は横須賀型で運用

――導入状況は

佐賀 電子入札を導入しているのは県と佐賀市の2団体。県は平成16年度から、佐賀市は18年度から運用している。

長崎 県が「コア」、長崎・佐世保市が「横須賀型」の電子入札システムを採用。現在、長崎と佐世保市も含め、共同運用準備会に各市町が参加、今年度の第2回会合には全23市町中、11市町が参加している。

宮崎 県は、17年末から試行を開始。市町村については、県の動向を見ながら順次導入していくとのことだが、現時点で具体的な導入計画等は公表されていない。

大分 県は19年4月からの本格導入を前に、土木建築部が18年5月から試行を開始し、その他の公共事業関係部局は8月から順次試行を始めている。
 全18市町村中、3市が試行中。合併前は、それぞれの市町村で入札に対する考えや取り組みが違っていたので、そのすり合わせから始める必要がある。

鹿児島 県は18年度にシステム設計及び開発を行い、実証実験も行う予定。19年度から試行し、下期から一部運用開始。20年度から本運用し、順次拡大していく。市町村については、県との共同システムで運用していくことになっており、鹿児島市や薩摩川内市、日置市などが積極的に取り組んでいる。

――導入自治体の実施内容は
長崎 長崎市と佐世保市は、「横須賀型」の電子入札を採用しており、県の「コアシステム」とは違う形態となっている。横須賀型は購入費やシステム面において廉価で簡易なことが最大の特徴。入札時の本人確認などはFDを用いて認証する。
 
佐賀 県はコアシステムを採用し、原則として紙入札との併用は認めていない。特色は、同一名義人であればICカードの複数枚登録が可能(ただし、名義人は1人に限定)。
 佐賀市では、入札参加登録から電子証明書発行までをすべてネット上で行う独自システムを構築。コアシステムのようにICカードを必要とせず、電子証明書も無料で発行するため、業者側の負担軽減が図られている。
電子納品
鹿児島 専門知識必要で理解に苦労
宮 崎 支援ソフト購入の選択に迷い
熊 本 受注者の費用負担と人材育成が課題

――導入状況は

宮崎 県は、17年末から試行開始。市町村では、現時点で具体的な導入計画等は公表されていない。

長崎 県は20年の運用開始へ準備中。工事は関係業界との話し合いを行うなどして、段階的な導入に向け検討を進めている。

佐賀 県内自治体で電子納品を導入している団体はゼロ。現在、佐賀県が電子納品を含めた「佐賀県CALS/EC基本構想」の策定を進めており、平成19年度からの段階的な導入・運用を計画している。

鹿児島 県は、18年度末から実証実験を行い、19年度に試行、一部運用、20年度から本運用する。市町村は、県の電子納品結果などの状況をみながら、順次導入となりそう。

大分 県も市町村も今のところ導入予定はないが、県は県内建設関連団体に意見を聞きながら、今後、導入スケジュールを検討するようだ。

――導入自治体の実施内容は
長崎 長崎市が試行段階ではあるが実施中。18年度は50案件中4件が電子納品で提出された。19年度末まで試行し、20年度に本格実施したいようだが、県内自治体の状況も踏まえ実施していく考えだ。

鹿児島 導入自治体がないので、具体的な内容についてはわからないが、鹿児島県独自のものとして紙と電子の二重提出による請負者の負担増を避けるため、最低限の二重化すべき成果品を定める「二重化基準」を設けており、CDなどでのチェックソフトの公開(配布)を行う。

宮崎 県は、18年度中に委託業務の一部で本運用を開始する計画で、工事については大型構造物工事を対象に一部試行運用をしていきたいとしている。
 
――発注者・受注者の声は
長崎 発注者側のみが効率良くなるのではなく、受注者の現状も把握した上での実施を望む声。IT環境自体の整備にも費用がかかることから、業者にとって負担だけが増大するのではないかとの懸念も。

鹿児島 発注者側は、電子入札と一緒で職員の教育問題だと思うが、受注者側は、企業間格差があり、人材や機器などの面と県内のインフラ環境の問題が大きい。研修を行うにしても、専門的な知識が必要で、なかなか理解するのに苦労するのではないか。

宮崎 受注者は、納品の支援ソフトがたくさんあるため、どのソフトを購入すればいいのか分からない等の話をよく聞く。県の導入時期等に関する動向を見ている状況である。
 
――専門記者から見た課題と問題点は

熊本 受注者は下位ランク業者や、市町村のみ受注する零細業者が電子納品を求められてきた場合、費用負担と、電子納品に対応できる人材を社内で育成できるか不安がある。発注金額が小さく電子化のメリットが少ないもの(維持補修工事、草刈りなど)は、電子化の除外を考えてもいいのではないだろうか。
 発注者は電子納品にメリットを感じていない自治体が多い。20年度に県が本格導入し、作業効率の向上や情報の再利用化、品質向上などが具体的に出てくることが広がるカギではないか。

長崎 長崎市が県にさきがけ電子納品を試行していることから、多少の混乱は発生するのかも、と考えている。地場の中小建設業者にとっては、今以上に厳しい経営環境になると考えられる。また、人材確保の面でも業者にとっては負担になるのではないか。長崎市のように発注者側の対応ができるとしても、受注者側の対応が心配。県が行っている業者側のIT環境調査も必要なことかもしれない。

宮崎 発注者(行政機関)と受注者(建設業ら)双方の納品に関する知識、データ操作など能力面でずれがある。紙ベースで提出した後、CDで納品する状況もあるとのことで、かえって作業量が増えている。IT関係に詳しい人材を据えておかなければ、納品への対応が難しい。

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