E業界に聞く平成17年1月20日新聞掲載

(社)熊本県建設業協会の
CALS/EC専門委員会委員長を務める
山本祐司氏(山本建設且ミ長)
 県、熊本市の電子入札導入をひかえ、県内受注者の対応も”待ったなし”の状態となっている。準備は進んでいるのか、不安は、発注者への要望は・・・。 (社)熊本県建設業協会CALS/EC専門委員会の山本委員長に話を聞いた。
−協会としての電子入札に対するこれまでの取組みは
 これまでは、国土交通省に対応した取組みが主体。JACIC主催の研修会などに参加し、国交省の電子入札システムを学んできた。あとは、個々の業者が国交省をはじめとする各発注機関主催の説明会に参加して学習してきたというのが実情。そういう意味で、国交省の入札に参加している業者については、県や熊本市の電子入札にも参加できる環境が、一応は整っていると見ている。

−それは、県内でどれくらいの業者にあたるのか
 はっきりとした数は分からないが、国交省の入札に参加している150社ほどではないだろうか。 

−その他の多くの県内業者については、これから電子入札に取り組んでいくことになるが
 熊本市が先行して電子入札を始めると聞いているので、熊本市内業者がどれぐらい電子入札に対応していけるかが、今後の事例になっていくものと考える。
 電子入札に参加するというよりも、まずはコンピューターを使えるかどうかが大きな問題。特に親方日の丸でやっているような業者の中には、これまでパソコンを触ったことがないというところもある。仮にパソコンを使っていたとしても、何か問題が起きたときに、上手く対処できるだけの能力を持っているのかどうか疑問だ。 

−インターネットの環境で危惧していることは
 国交省が電子入札を始めた当初も、認証局のシステムをパソコンにインストールする際に、かなり問題が起こったと聞いている。これは、使っているパソコンの機種の個性や、他の用途と重複して使っている場合など、色々な要因が考えられる。結局は、OSのことを十分に理解していることが大事。
 そういう意味で、電子入札に参加するためには電子入札専用のパソコンを整えておくことが必要かもしれない。さらに付け加えれば、他の市町村等にも電子入札が普及した場合を考慮し、入札用のパソコン、認証カード、通信系列等を複数用意しておくほうがいいのではないか。

−入札時のトラブルについて考えることは
 発注者に対して、確認作業を確実に行うことを要望したい。例えば、入札不落で再入札になった場合に、発注者から再入札を求めるメールがあっても、そのメール自体がすぐには届かない場合が考えられる。また、参加者が再入札しても、そのメールが届かないことも想定される。メールは、出した瞬間に届いていると思われがちだが、実はすぐに届かないケースが間々ある。
 そのような時間のタイムラグ、すなわちインターネットシステム上のトラブルが発生した時、手間が掛かっても電話やFAXで確認作業を行うなど、受注者の権利を守る対応をきちんと整えた上で、運用を始めて欲しい。

−協会員でパソコンを使えない企業はどのくらいあると思われるか
 パソコン自体については、ほぼ保有していると思う。ただし、何らかの形でパソコンを使っているとは思うが、インターネットをつないでいない、あるいはメールを使っていない企業は、結構いるのではないだろうか。 

−このような会員企業について、電子入札へ対応させていくには
 電子入札に対する周知徹底は、熊本市や県などの行政機関が対応すべきこと。まずは、すべての協会員がついていけるよう、説明会・講習会等の対策を確実に講じて頂きたい。その上で行政サイドから何らかの協力要請があれば、協会としても取り組んでいきたい。

−これから取組む企業へのアドバイスは

 まずは企業努力をすること。協会は、会員約1200社に対して、手取り足取り教えることはできない。協会としてできることは、情報を提供したり、環境整備の方法を提案したりすることだけ。努力することについては、研修会等を通して手助けするが、あくまでもそれは手助け。電子納品についても同じことがいえるが、各企業が努力しようとする姿勢が大事だ。
 システムについては、まず使ってみること。有料にはなるとは思うが、そういうことをサポートする業者に依頼してソフトを入れてもらい、講習を十分に受けた上で、何度もシミュレーションを繰り返したほうが良いと思う。慣れることが大事。  

−電子入札に参加するためには専属の社員が必要となるのか
 専属で人材を雇い入れるには、あまりにもコストがかかりすぎる。営業か事務の社員を、担当者として育てていくことになると思う。それに関連して必要となることは、システムを操作できる人間を一人に限定しないこと。一人にすると、その人が動けなくなり、何か起こったときに対応できなくなる。必ず、複数の人が使えるように、人材を育てておくことが安心につながる。

−その他、電子入札の運用等で意見があれば聞かせて欲しい
 通信網のインフラ整備がどれほど進んでいるかということ。熊本市内については、現時点でもほぼ整っていると感じるが、県内全域でみると、郡部などでは、まだまだ整備が遅れている地域もあるのではないだろうか。
 そういう意味では、県の電子入札導入に関しては、まずインフラ整備がどれぐらい進んでいるかを調査し、進んでいない地域の対応も考慮した上でスタートして欲しい。そのほか、当面、紙入札との併用になると思うので、業者サイドにトラブルが発生した場合に、すぐに紙入札に変更できるような仕組みもあっていいのではないかと考える。
 協会としては、今後、熊本市と県の電子入札システムが構築され、その仕組みや運営方法が明らかになった上で、対応や対策を考えていく方針だ。

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