I県、新分野進出に20億円の融資・先導的モデル企業に支援策
平成16年3月29日新聞掲載
 熊本県は、新分野進出を目指す企業を対象とした新事業展開支援資金を十六年度から創設する。二十億円の融資枠を既に予算化しており、このほど作成した建設産業振興プランで建設企業の自助努力を促す支援を展開する一方で、直接的な支援策により、建設業の再生と新産業の創出を後押しする。
 創設した資金制度は、異業種への転換や経営革新などを行う意欲的な中小企業に長期・低利の融資を行うもので、一定の要件を満たせば信用保証協会が保証し、金融機関が融資する。期間は七年間(一年以内据置)。融資額は企業五千万円、組合一億円が限度。
 今月中旬には、金融機関の本部担当者を対象に融資制度の説明会が開かれており、新年度からは商工会などにも周知し、利用を呼びかける。
 この資金制度を担当する商工観光労働部の経営金融課では、これまで中小企業向けに九つの融資制度を運用。新年度からは、新事業展開支援資金の創設のほか、金融円滑化特別資金の融資限度額をこれまでの三千万円から五千万円(組合は一億円)に引き上げるなど、融資制度を拡充する。
 「新事業展開支援資金は、これまでになかった融資制度。新分野への進出が加速し、利用が多くなれば融資枠の拡大も検討していきたい」(日下部課長補佐)と話しており、新分野への積極的な進出と融資制度の活用を促す。
新分野進出が加速すれば融資枠の拡大も。

熊本県商工観光労働部経営金融課 日下部課長補佐



アクションプログラムで支援策を計画。

熊本県土木部監理課 福山課長補佐
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 建設業は、将来拡大する見通しもなく、縮小し続ける市場のパイをめぐり、「本業重視で厳しい競争を生き抜くか」それとも「新分野進出で新たな道を切り開くのか」−厳しい選択を迫られている。
 新分野進出に関しては、「主体的に取り組む意欲が欠けている」ことや「経営力低下により、体力のない企業が多い」ことも否めない。行政も「支援対象にすべき企業をどう選択するか」、「庁内の取り組み体制の一本化」など多くの課題を抱えている。
 熊本県は十五年度に建設産業振興プランを策定し、建設事業者自らの取り組みや行政の支援施策を示している。このプランの実効性を高めるため十六年度から当面三カ年のアクションプログラムを作成。建設業各団体に対しても業種の特性に応じたプログラムの作成を要請中だ。
 アクションプログラムの目玉は、企業連携の促進と新規成長分野参入への支援。「具体策については、六月の肉付け予算に盛り込む方針だが、新分野進出の支援策として、先導的なモデル企業に対しての専門アドバイザーの派遣、融資制度の活用などを計画している」(土木部監理課福山課長補佐)という。
 新分野進出を直接支援する融資制度を創設したばかりの商工観光労働部でも福岡県が昨年十二月からスタートさせた中小企業向け無担保融資を検討中。この制度は県、信用保証協会、金融機関の三者が一定のリスクを負担することで無担保で融資する上、第三者保証人も必要ない仕組み。
 市場が縮小している建設業にとっては、まさに〃渡りに船〃で、新分野の展開で最もネックとなっている資金調達に明るい材料となっている。ただ、モデル企業にしても融資にしても対象となるのは「意欲的で、事業計画がしっかりしているものだけ」。建設業の新しい扉を開くためには、各企業の経営努力・判断がこれまで以上に求められそうだ。
 新分野進出〜建設業の新しい扉〜編は、これで終わります。

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