H経済効果を生み出すイノベーションが必要平成16年3月8日新聞掲載
 「新技術・サービス等の提供で経済効果を生み出すイノベーションが必要だ」。全国10都市で開催されている「建設専門業経営革新支援研修」の講師を務める(有)アドミックス(東京都)の平智之社長は、経営革新や新分野進出を目指す建設業者にこう話す。

 「経営革新とは、"他人または過去と違うことをする"という経済学者シュンペーターの言葉があるが、実際、造り手(供給側)が一歩先を行くのもままならないのが現状だ。しかし、今後は、リスクが大きくても思い切って、まず半歩先を行ってみようという考え方も必要となってくる」。

 平社長は現在、@新しい技術・サービスA元請下請関係の多様化B企業IT化−による経営革新への三つの切り口から建設業の再生に向けた様々な道筋を示すため、全国を回っている。

 これからの新しい技術・サービスは、「工学的な特許や新しい製造方法などの『技術革新』と、顧客満足度の向上、ビジネスのやり方(営業・流通)など『サービス革新』の両立が理想だ」と平社長。

 元請下請関係の多様化についても、多様な建設生産・管理システムの形成、元請下請関係の適正化、経営力・施工力の強化、人材の育成・確保−が必要とし、このうち多様な建設生産・管理システムでは、「CM方式や異業種JV、分離発注等の一括請負方式が、専門工事業者の新たなチャンスになる」と受注拡大の戦略を訴える。

 企業IT化で新分野を目指す建設業者には、入契法の施行で、自社の好む好まずるに関わらず、情報が公開される"情報の大公開時代"をうまく活用していけばいいという。「我が社のために情報をインターネット市場へ提供してくれるという逆の捉えかたで、各自治体等の公表する情報は有効な販促ツールとなるのではないか」と、発想の転換を促す。

 現在、政府・民間の建設投資がピーク時(平成四年)から約三割減少しているにもかかわらず、許可業者数、就業者数ともに平成四年の水準より増加。この供給過剰傾向の中で、大手・準大手ゼネコン等は、経営統合等の再編を本格化しており、中小・中堅建設業者は今後とも再編・淘汰が避けられない状況にある。

 こうした中、国土交通省では、建設業の再生に向けた措置として十五年度に「先導的・革新的モデル事業」を予算化。調査対象の事業に対し、新分野進出をはじめとする事業実施に必要な計画策定や、アドバイザーの派遣等による支援を実施している。

 このほど、福岡サンパレスホテルで開かれた九州地区の経営革新支援研修で、平社長が、この先導的・革新的モデル事業について講演。国土交通省九州地方整備局の久保田勝建政部長も建設業の現状と課題について述べ、「当面の公共投資の動向を見ると、現状のままで全ての業者が生き残ることは困難」と説明。今後は、「依存的・受身的な考え方から脱却し、脱下請化や新市場の開拓に取り組みべきだ」と言及し、厳しい市場環境を勝ち抜くヒントを提示した。
 
依存的・受身的な考え方から脱却を

建設業の経営革新について話す(有)アドミックスの平智之社長



建設業の課題を述べる久保田建政部長



経営革新支援研修会には専門工事業者ら約150人が出席

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