D民間需要掘り起こし建設業で生き残り平成16年1月26日新聞掲載
 (株)トーカイ(泗水町福本)の荒木典之社長は、昨年12月「バリアフリーファミリー温泉とよみずの湯」をオープンさせた。「ここ5年が勝負。建設業の仕事が減ったからといって、今まで自分を信用してくれた社員を裏切るわけにはいかない」。建設業での売上減を温泉施設利用による売上でカバー。民間需要を自ら掘り起こし、建設業での生き残りを懸ける。

 (株)トーカイは、菊池管内を拠点に国、県、市町村工事を手掛ける地場中堅企業。10年前に荒木社長が立ち上げ、着実に業績を伸ばしてきた。しかし、ここに来て公共事業費の減少が売上高に響き始める。

 建設業での売上増を見込めないと感じた荒木社長は、新事業で現状を乗り切り、建設業の存続を決意。当初、福祉施設を建設し、その経営で維持していくことに望みをつないだ。ところが「平成17年まで認可が満杯だった」。

 泗水町孔子公園向かい側の現地にとよみずの湯の建設を思い立ったのは、周辺に立ち並ぶ温泉施設の盛況ぶりから。元々社屋建設用地にと先行投資していた所が国道387号沿いで、立地条件も良かったことから迷いは無かった。敷地内を630mボーリングし、期待どおりに良質な泉源を掘り当てた。

 温泉施設の建設費は、銀行からの借り入れ。誰でも利用できるようにユニバーサルデザインを採用するにあたり、国民生活金融公庫からの借り入れも要請したが『特殊浴場扱い』で断られた。

 「資金の調達には苦労した。建設業で築き上げた信用で借り入れることはできたが、中小企業に対する融資・助成金制度の必要性を感じた」と国・県をはじめとした公共機関による窓口の整備を指摘。地域に根ざした中小企業の育成・救済策を訴える。

 開館以来、2ヶ月弱だが、日平均10万円程度を売り上げる。2000部用意した営業用パンフレットも既になくなり、2万部を追加中。従業員も10人ほど新規採用した。「トーカイからの人材シフトは考えていない。彼らには技術屋としてのプライドがある」。

 今後は温泉の経営と並行し、温泉の排水熱を利用したマンゴー栽培にも挑戦する。栽培技術を習得中で、鹿児島などの先進地を視察した。排水熱を利用するため大幅なコスト縮減が可能で、他者より安いマンゴーが提供できるという。現在、資金の調達はもとより、販売網をどのように確立していくかが課題となっている。

 荒木社長の新事業はまだ始まったばかり。その一つの目的には建設業の存続で、物づくりを大切にする思いが垣間見える。「長年建設業に携わり、公共工事で喰ってきた。民間で金を取ることが、こんなに辛いものだとは思わなかった。金銭感覚がずれていたのは確か」と反省しながらも「全て現金。風呂代掛ける人はいない」。前向きな姿勢がチャレンジ精神の源だ。 
融資・助成金制度 早急な窓口の整備を!

ユニバーサルデザインで、誰もが利用できるファミリー温泉。昨年12月に開館し利用者の出足もまずます。



施設の建設費は銀行の借り入れで



一般浴室のほか11室の家族風呂を完備。福祉の湯を2室(1室はリフト付)を設け、身障者にも対応した

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