@実現には人材、資金、技術、時間、ネットワーク…平成15年10月9日新聞掲載
 公共事業費が大幅に削減される中、熊本県内の建設業への影響も深刻で、請負金額をみても平成十四年度では、ピークの十年度に比べ約四割減と最悪の状況だ。このため建設市場を先読みして、自立を目指す動きも活発。建設関連産業はもとより、農林水産業、福祉・介護、環境などの各分野へ活路を見いだす地元建設業者も少なくない。

 新分野への進出は「人材、資金、技術、時間、ネットワーク等の総合力が必要」とされており、どの項目が欠けても実現が不可能といえる。

 熊本県建設業協会は、平成十四年度に「建設業ベンチャーエンジェル可能性調査」と題する新分野に関する調査を実施。先月初めには「建設業経営者セミナー」で調査結果を報告し、その可能性を模索している。

 セミナーでも講演した同協会の新分野進出アドバイザー山本祐司氏と専務理事の川口孝雄氏に、熊本県内の現状を聞いてみた。
−新分野への進出について具体的なご意見をお願いします
山本 - 公共事業費の削減がもたらすものは、建設業だけの問題ではないような気がする。今後建設投資が増える見通しはなく、淘汰されるのを待つか、自力で立ち上がるかの選択が迫られている。先ずは社長や社員の意識改革が必要だ。新分野に関しては、短期的にはフランチャイズや飲食店などが上げられるが、目先のことではなく、もっと大きな視野で中・長期的な取り組みが重要。そのためには、数社で連携する支援組織の立ち上げが急務で、情報を共有しながら新しいものにチャレンジすべきだ。 支援組織の早期実働を!!

(社)熊本県建設業協会 新分野進出アドバイザー
山本 祐司氏
−支援組織でどういった活動を
山本 - 先ずは勉強会をやって情報収集の場として活用したい。今は建設業を頑張りながら、いくつかの分野について検討する。対象物が決まったら、何社かで出資してプロジェクトチームを立ち上げる。支援システムは、共同と協力と競争がキーワード。異業種との連携も必要で、相互の情報を提案していくべきだ。活動期間としては、三〜十年程を考えている。
−支援組織ばかりでなく、協会自らが果たすべき役割も大きいのでは
川口 - 協会としては県内建設業の将来を見据えて、いろんな人を支援できるようにしていきたい。例えば県内では農業から建設業に移行してきた業者も多く、そうした方々と行政等の支援・助成を受けられるようなパイプ役を務めたい。私自身、県の職員として地域づくり運動を支援してきた経験があり、そのノウハウを活かしてもらいたいと考えている。 助成・優遇制度を活用し開拓へ

(社)熊本県建設業協会 専務理事
川口 孝雄氏
−建設事業費の削減と共に建設業への就業人口も減少しているのでは
川口 - 県内ではピーク時に約九万五千人の実績がある。現在は徐々に減少しており、今後増加は見込めない状況で、最終的には二〜三万人の受け皿が必要と試算されている。危機感を持って新分野への進出を真剣に考えなければならない。ただ、建設産業が県内の経済に及ぼす影響も大きく、農業、福祉と同様に建設業の振興につながる誘導策を展開するよう関係機関に働きかけていきたい。
−新分野での成功のカギは
山本 - 情報をどれだけ持っているかでかなりの差がでるのでは。今は県内でも地域で温度差、格差があるものの、今後はこの差も無くなるだろう。遅れた取り組みにならないよう支援組織の早期実働で、雇用を吸収できるよう新規事業を立ち上げていきたい。

川口 - 県内では世界に誇れるような技術を持った企業もたくさんある。異業種との交流を積極的に進めることも重要だ。誘導策的な助成・優遇制度をうまく活用して新規事業を開拓していくことも視野に入れるべき。 研修参加者は、自分の会社はもちろん、他の企業に対しても研修で得た知識を伝え手助けすることが必要。また残りの会社に対する研修にも早期に取り組みたい。セキュリティ対策や電子入札・ISOへの対応などいろんな課題を抱え、現場責任者にはかなりの負担がかかるが、とにかくCALS/ECに対応できないことには生き残れない。支部の全社・全社員がそのことを認識し、一社も落ちこぼれることがないよう、積極的に情報提供を行いたい。

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