第4回-開拓者魂で地域おこし-町全体を「有機農業の里」に[北浜建設]
平成15年8月18日新聞掲載
 「これからは、有機農業で健康に良い農産物を消費者に提供しよう。遠別町全体を有機農業の里として活性化しよう」。北海道遠別町の北浜建設の有田正社長は、文字通り、開拓者魂で、人々の心を動かします。

 遠別町は人口3700人の農業と漁業と建設業の町です。建設業で働く人が最も多く、就労人口の約3割を占めています。貴重な現金収入をもたらしてきた公共事業の縮小で、町は厳しい状況にあります。

 この地方の建設会社の従業員は、地元で直用された人が多く、解雇されても、他に行き場がありません。厳冬の地であり、夏場に雇用されていないと、冬場の休業手当ももらえません。「失業」の辛さはひとしおです。

 有田正社長は、「雇用を守るために、この過疎地で、我々が出て行けるのは農業しかない」と、稲作北限の荒野で、微生物を使って有機たい肥を作り、農業に乗り出しました。農業土木で鍛えた土壌改良技術や建設機械のオペレーション技術を役立てながら、大地を耕していきました。

 2002年の秋には立派な有機カボチャが収穫され、通常よりも高値で札幌のデパートで完売しました。行政の協力も得て、農業生産法人「アリタ」も設立できました。この動きはテレビでも取り上げられ話題になりました。

 また、有田社長は町の異業種の仲間たちと、民間出資で遠別産業振興公社を立ち上げました。地元の酪農家や漁業組合から牛糞や魚かすを仕入れて、振興公社で有機たい肥を作り、周辺の農家に売り、有機農業を広めようとしています。将来は作付け面積を150fまで広げるという目標も立てました。

 2003年からは、新たに建設会社2社が有機農業に参入しました。「安心・安全・健康に結びつく無農薬の有機農業が、北海道の農業の再生となると同時に、有機栽培のための新たな土地改良事業が、世間も納得できる公共事業になる」という信念のもとで、有機栽培のための大規模な土壌改良事業を、3社合同で、遠別町・支庁・北海道に要請していく予定といいます。

 「将来は食品加工を行い、安全・安心な地域の特産品を作り、観光にも結びつけたい」「インターネットを使った直販も行いたい」と、将来への夢を熱く語る有田社長。一人の男の信念が、北の地に新しい活力を吹き込もうとしています。


【カボチャの苗の植え付け風景】



有田 正 社長

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