第3回-健康指向の産物で林業再生-薬木「メグスリノキ」を通信販売 [冨士鋼業]
平成15年8月14日新聞掲載
 「戦後の林業の変遷、変貌を身をもって体験した私達にとって、現状の森林環境ほど無残なものはない。森林の再生のために働きたい」と、栃木県の冨士鋼業の柏倉実会長は、木材生産とメグスリノキの栽培による複合林業経営に心血を注いでいます。

 柏倉会長は、元は材木屋で山林も所有していましたが、高度成長の波に乗り、1961年に鉄筋加工業に転換しました。大手ゼネコンの下請けとして、メッシュ、スパイラルフープなど、コンクリート構造物用の鉄筋加工品を製造し、最盛期の85年には月産1200d、年間12億円の売り上げがありました。

 ただ、経営を木材関係から鉄筋関係に移した後も、衰退していく国内の林業を何とかしなければならないとの想いが常にあったそうです。そして、採算悪化にもかかわらず、所有する山林40fの枝打ちを継続し、節の少ないスギやヒノキの優良建築材を生産し続けてきました。

 さらに10年前からは、社内にグリーン開発部をつくり、健康茶メグスリノキの栽培と販売を行ってきました。メグスリノキは、日本古来の薬木ですが、実をまいても発芽しにくいため、数が少なくあまり知られていませんでした。そこで、柏倉会長は、試行錯誤を重ねて、苗木栽培法を確立しました。

 現在では、地道な努力が実り、成木1万5000本、幼木が3000本、発芽期のものが3000本となりました。樹皮や葉からメグスリ茶、メグスリ飴、メグスリ煎餅などを製造しています。全国に向けての通信販売が主力になっています。

 近年、鉄筋加工業の落ち込みがひどく、かつて会社案内に取引先として掲載されたゼネコン数社は倒産し黒いラインで消されました。売上は最盛期の半分以下、5億円程度に落ち込んでいます。

 「今後は、メグスリノキの事業を会社の柱に育てたい。メグスリノキの栽培と、木材生産との複合林業を軌道に乗せて、採算が採れる林業経営の形を世に示したい」。これは自社の経営のためだけではありません。

 「全国各地の、荒廃した山地や畑に、メグスリノキや薬草、山菜を植えてもらい、新しい健康指向の産物を生み出して、森林再生の一助にしてほしい」。
 70歳を越えた柏倉会長の夢は、まだまだ続きます。


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柏倉 実 会長

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