第2回 地域にビジネスチャンスあり 〜自分の目で探そう〜平成15年4月21日新聞掲載
 「すぐやる課」。北海道留萌市の保坂組は、住民の突発的な要望に即座に応じるサービスを始めました。
 暴風雨で河川に流入した倒木の除去作業、凍結して破断した水道管の修理、蜂の巣の駆除作業、草取りまで、あらゆる要請に対応しています。
 担当の折野光雄専務は、「公共工事が減少する時代、地域の住民にとって必要とされる会社になることが重要だ」と言います。
 「すぐやる課」の収入は、平成13年で800万円と決して多くありません。しかし、地元の方々に喜ばれることで、本業に良い影響が出始めています。

 建設会社の淘汰が進む現在、地域の住民に好感を持たれることは、とても大切です。

 このような話をすると、建設会社の中には、「自分のところだって、困ったことが起きたら、すぐに施主の所に飛んでいってるよ。」という方もおられると思います。
 もし、そうであれば、名刺に「24時間サポートの○○会社」とか、「すぐにかけつける○○会社」などと、色文字で刷られたら、いかがでしょうか。自分たちの日ごろの努力をセールスに示すしたたかさも生き残りのためには必要です。

 過疎の地方では、都会に出ていった娘や息子の代わりに、老親の世話をする建設会社も現れました。
 都会でも、東京下町の芝園開発の海老沼社長は、駅周辺の違法駐輪に目を向けて、駅周辺の小さな空き地を利用して「レンタルコインサイクリング」を始めました。1日100円で自転車を置くことができ、稼働率は何と100%だそうです。現在、地元だけでなく、近隣の駅周辺にも広がっています。
 今まで役所の方に向いていた目を、地域に向ければ、そこにはきっと地域のニーズがあるはずです。

 ただし、「これがいいですよ」「成長産業はこれですよ」などの言葉に引きずられてはいけません。みんなが良いと思ったら、すぐ過当競争になりますから。
 自分の目で、足元を見て自分で探すことが大切です。
 建設業は地元密着で地域の事情に通じています。その長所を生かして、これまで人が目をつけなかった所に、ビジネスのタネを見つけましょう。

 今、建設業の経営者には、発見力が求められています。

駅周辺空地を利用しレンタルコインサイクリング
(芝園開発・東京)



米田 雅子氏

略歴 山口県生まれ。昭和53年お茶の水女子大学卒後、新日本製鉄入社、構造解析システムを担当。平成7年から12年3月まで東京大学建築学専攻松村研究室。10年からNPO法人建築技術支援協会(サーツ)の常務理事・事務局長。また、NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」で建設分野担当講師を務め、サーツでは新分野進出研究会を主宰。著書には、「建設業 再生へのシナリオ」(彰国社)などのほか、「NPO法人をつくろう」(東洋経済新報社)も。


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